車はインターを降りて2車線の県道に入った。
向かっているキャンプ場は、山間部を縫うように走る県道を抜けた先にあり、ほぼ一本道だった。
運転席の正志は不慣れな道に集中して、しっかりとハンドルを握っていた。
助手席の正彦は車酔いから回復し、遠くにせり上がる入道雲を大人しく眺めている。
二列目の座席に座る梨花は、チャイルドシートの香住と一緒に童謡を歌っていた。
3列目に座る恵美子と清三は、ミニバンがインターを降りるとどちらからともなく体を離していた。
「疲れるだろう。帰りの運転は任せろ」
エネルギッシュな太い声で清三が言った。
ハンドルを握る正志は大きく首を横に振って見せ、「保険の事は話しただろ」と言って、清三の隣い座る恵美子の顔をルームミラー越しに見た。
俯いた妻の顔色が少しだけ赤いように見えたが、その理由を知る由もなく再び視線を前方に移した。
一行を乗せたミニバンは、緩やかなカーブが連続する登りの道を慎重に進んでゆく。
「恵美ちゃん、到着までもう少し時間がある」
先ほどの行為に悪びれた様子もなく、清三が隣の恵美子に耳打ちした。
俯いたままの恵美子は少しだけ冷静さを取り戻しつつあった。夫の同期であり上司でもある清三に体を弄ばれた事実に困惑を隠せない。
―――ごめん梨花・・・・・・ 大変な過ちを犯してしまったわ
今は会話を避けたかったのだが、清三には悪びれた様子がなく、その平然とした態度になんだか釈然としない。
「もう終わりにしましょ。梨花に悪いし―――お酒に酔ってたから・・・・・・」
「そんなに真剣にならなくても大丈夫だから―――旅の恥はかき捨てって言うし」
「いやそれって、もともとの知り合い同士だと成立しないですよ」
「そっこうで看破された―――」
「ふふふ、川野さんやっぱり酔ってる」
テンポよく弾む会話は夫とでは成立しない。おどけた川野の様子に恵美子は自然と笑っていた。
笑い終わると清三がいきなり恵美子の肩を抱いて引き寄せた。
反対の手が恵美子の右胸を服の上から鷲掴みする。
「――――――!?」
言葉を失った恵美子が、車内を警戒して視線を前に向けた。しかし前列の梨花や運転席の正志は、異変に気が付いた様子はなかった。
「ちょ、ちょっと―――川野さん、ダメですからね」
「もう限界だよ。酔ってる勢いで告白します。恵美ちゃんのオッパイをずっと見てました」
「知ってました」
「えっ!? 嘘っ―――!」
不思議なことに、清三の言葉で恵美子は嫌悪感を覚えなかった。
「じゃあオッケー?」
「なんでそうなるんですか」
会話の途中にも恵美子は胸を揉まれ続けていた。
鷲掴みにしている清三の手が円を描くようにしてゆっくりと動いている。
「大きいオッパイだなぁ~。あいつに揉まれて大きくなった?」
「変なことを聞かないで・・・・・・」
「こうされると気持ちいい?」
「・・・・・・」
「ごめん、怒った?」
「怒ってません」
「じゃあ俺のも触ってくれる?」
「だから何で・・・・・・川野さん酔ってますよね。もうしませんよ。バレる前に離れましょ」
丹念に揉み込んでゆく川野は、念願の人妻―――恵美子の巨乳の感触を堪能していた。
恵美子は久しぶりの刺激に乳首が勃起していた。夫は触りもしない。勃起した乳首がブラジャーの内側と擦れて痛いくらいだった。
「ほら、もうギンギンだよ」
短パンの股間部分が大きく膨らんでいて恵美子の視線が釘付けとなる。
―――短パン越しでも大きいのが分かるのね
妙な考えに頭の中が支配され、恵美子は生唾を飲み込んでしまった。
「もうしませんから。さっきは川野さんが強引に―――」
「―――違うな。俺が恵美ちゃんの手を放しても積極的だったよな」
恵美子は清三の指摘に戸惑った。
夫ではない男の股間に指を這わせ、途中からは積極的に見られても仕方のない乱れた姿を晒していた。
恵美子自身、自分の家族のいる車内という密閉空間で、親友の夫に股間を弄ばれるという異常な状況の中で背徳感を大きく煽られた。
今までに一度も感じたことのない気持ちの昂ぶりを覚え、清三に体を預けてはしたなく絶頂を迎てしまった。
胸への愛撫は力強く執拗で、先ほどの行為で火照った恵美子の体の芯に遠慮なく欲情の薪をくべてくる。
「うっ! ううう、やっ、ダメ・・・・・・」
「声が漏れてるよ」
前方を警戒しながら恵美子の耳元で清三が囁く。
口では拒否しながらも恵美子は抵抗の素振りを見せない。もちろん狭い車内では抵抗する手段がない事を理解していた。
短いカーブの連続で車内の体は小さく左右に振られ、恵美子と清三の体がより密着した。
清三の手の動きには遠慮がない。ジーンズ越しに股間を触られている時とは違い、前方の誰かが振り向けば勿論のこと、ルームミラー越しでさえ何をしているのかが分かる状況に緊張する。
少しでも前方の視線を避けることができるようにと、恵美子は前屈みのちじこまった姿勢になった。
「う、ううっ、はうっ」
シャツ越しに、執拗に胸を揉みしだかれる恵美子の口から、我慢できない喘ぎ声が漏れ始めた。
清三の愛撫は一定のリズムから強弱を付けたものへと変わり、大きな乳房の先端を淫靡に尖らせてゆく。
「ははは、感じてるな恵美ちゃん。ほら俺のも触ってくれよ」
恵美子の体の反応に、清三が小さく笑って言った。
清三の言葉に、前屈みになっている恵美子が顔を横に向けた。すると清三の股間部分が目に入り、短パン越しの猛りが見てとれた。
「頼むよ」
恵美子の耳に、酒臭い息を吹きかけながら清三が低い声音で囁いた。性感帯として耳が弱い恵美子の子宮がキュっと反応する。そして段々と思考がふやけ始める。
――――あなたが悪いんだから。それに、ごめんね梨花・・・・・・絶対、ダメなのに・・・・・・こんなことはこれっきりだから
頭の中で夫と親友の顔が浮かんだ。すぐに霞がかかったようになり、その表情が見えなくなる。
「ほら、さっきみたいに一緒に気持ちよくなろう」
囁いた清三が、恵美子の耳たぶを甘噛みした。一度火がつけられたセックスレスの女の体は脆く、耐えきれなかった。
理性のダムが決壊する。
「・・・・・・内緒にして。あの人と梨花には、うっ、絶対に内緒に――――――」
言った恵美子の手が、短パン越しのエレクトした清三の股間に添えられた。
「うっ!」
待ち焦がれた刺激に清三が思わず呻き声を漏らす。その声は坂道を走行するミニバンのエンジン音に紛れてしまう。
「うっ、うう、はぁんん」
喘ぎ声を漏らす恵美子のシャツの裾が捲られた。大きく分厚い手が内側に入れられ、ブラジャーのカップ越しに愛撫される。
「くぅ~ん――― はっ、ううっ」
揉み込まれるごとに双房の感度は増し、恵美子の口から断続的な喘ぎ声が漏れはじめた。
激しい愛撫の連続。
次第に、カップの上方から乳房の肉がはみ出してきて、完全にこぼれ出る。
直に乳房に触れられて、恵美子の体がびくりと跳ねた。
官能に尖った先端を指先で摘ままれた恵美子の顔が、苦痛とそれ以上の快感で卑しく歪んだ。
1度ならず2度までも、夫以外の一物に手を伸ばす形となった恵美子にとって、欲情の炎は自ら消す事が出来ない程に大きくなっていた。
清三の誘導により短パンの裾から手を差し入れた恵美子が、直にエレクトした一物を触り、そして握り込んだ。
―――ああ~ん、なんで、なんでこんなに熱くて硬いの~~~
肉棒の感触で目眩を覚える恵美子。
少し触っただけで夫のモノより格段に太く長いと分かった。興奮した恵美子は口腔内に溢れ出た涎を飲み込んで、しっかりと握り直した。
「すごく熱いです」
「うん? 何が?」
「何がって・・・・・・ 川野さんの――― あ、あそこが」
「それは恵美ちゃんのせいだよ」
「う、うう、ああっ――― なんで私のせいなの?」
「こんなにいやらしい体をいつも見せつけるからだよ」
「見せつけるって、ああ、勝手に川野さんが、ううっ――― 見てたんですよね」
小さく交わされる男女の会話で、お互いの気分がさらに昂っていった。
一物を握り込んだ恵美子の手が自然と上下に動きだした。
「ああ、気持ちいいよ恵美ちゃん」
「・・・・・・今だけです。絶対に内緒ですからね」
恵美子の体は川野の愛撫で正直な反応を見せていた。それでも不貞行為の実感は拭えない。だから不承不承といった感じで恵美子は言った。
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一行を乗せたミニバンは、正志の安全運転で着実に目的地に近づいていた。
車内の三列目――――――ベンチシート上では、大胆にも不貞行為が進行中であった。
他人棒を上下にしごく恵美子が、新たな発見に戸惑う。
上下する手が、一物の先端に到達することなく、途中に張り出した仮首に押し返されるのだ。
――――あの人とは、全然違う。まるで笠の開いた松茸みたい・・・・・・
自身の扱いている一物の形を想像すると、恵美子の興奮が大きく増した。手こきの動作に力が入る。
「恵美ちゃん、気持ちいい・・・・・・ 積極的になってきたかな」
「ああ、だめよ。そんな言い方はやめてください。川野さんの意地悪」
行為自体を俯瞰して見ると、もはや恋人同士のペッティングである。しかしここは、互いの家族がいる車内であって、その異常な状況が恵美子と清三の興奮をいやがうえにでも増幅させていた。
車は連続したカーブを抜け、杉林の開けた登りの直線に入った。
ベンチシート上で2人の体だけが異様に密着していた。
少し前にずれた恵美子の背中と背もたれの間に体を半分ほど滑り込ませた清三。
恵美子のシャツの裾から両手を差し入れ、堪能するように恵美子の大きな双房を愛撫していた。
「うぅ、ううう、はっっっんん」
清三が与える刺激は、優しい夫のものとは違い、恵美子が一度も経験したことのない力強く執拗なものだった。
時折、人差し指と中指で淫靡に尖った乳首を強く摘ままれ、その度に恵美子の体が小さく跳ねた。
「―――痛ぁぁぁん!」
恵美子の苦痛と快感がないまぜになった短い悲鳴は、エンジン音に掻き消される。
前屈みで露わになった恵美子のうなじに堪らなくなった清三が口を付けた。分厚い唇がうなじに吸い付き、唾液にまみれた舌が遠慮なく上気した肌の上を這った。
「―――!? っううう、はぅううう」
新たに加わった刺激に、恵美子の体が敏感に反応する。それでも清三の一物を扱く手は離さない。
恵美子の手は雄々しい一物の鈴口から溢れ出したカウパーでヌルヌルになっていた。
「もうすぐ着くよ。あとで続がしたい」
直球勝負で清三が言った。そして清三の唇は恵美子のうなじから真っ白い首筋に移動する。
大柄な清三に後方から絡めとられる姿勢で、首筋に強く吸い付かれている恵美子の理性は溶解の一途だった。
「ダメですよ。絶対にダメ」
「バレないようにする。約束する。絶対にバレないから」
「約束? 絶対? あ、っんん―――そういう、話じゃないです。うううっ―――」
「いまより気持ちよくなれる。絶対にバレないから」
「気持ちよく? はんっ――― 絶対にバレない?」
「ああ、気持ちよくなれる。いや俺が頑張るから。それにバレないよにする。大丈夫だって。夜はみんな疲れてぐっすりだろうから――― な、絶対に大丈夫だって」
不貞交渉の最中、清三の唇が首筋から恵美子の顔へ上ってゆく。
前屈みの姿勢から若干体を起こした恵美子が、無言で清三へ顔を向けた。返事を待たず、清三の唇がゆっくりと恵美子の口を塞いだ。
恵美子の抵抗はない。それが、不貞交渉の恵美子の出した答えだった。互いに口をすぼめて接吻をする。
狭い車内では危険な行為であったが、二人の欲情は止まらなかった。
「―――清ちゃん、もうすぐ着くわよ」
恵美子の口腔内に清三の舌が差し入れられ、舌と舌が触れ合った瞬間だった。前席の梨花が声を上げ振り向く寸前で、恵美子と清三はすばやく互いの体を離したのだった。
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