閉鎖空間で交わる愛妻の淫らな夜と義父の猛り~第2話

NTR官能小説
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 金属製の重たい扉を開けて中に入った。内側から二重のロックを掛ける。

 白色のLEDライトに照らされたシェルターの個室は、畳三畳よりやや広いくらいの狭小空間だった。
 天井は低く、おまけに面積の大半をセミダブルのベッドが占めている。

 ある日突然、僕たち夫婦の平和な日常は終わりを迎えたのだ。
 横を向くと妻の瞳が不安に揺れていた。

 奥に数歩進むだけで僕たち三人は必然的にベッドの上へ―――。

「はぁ~、ベッドの上で生活しろってかぁ‥‥‥」

 顔を顰めた父さんが、ため息交じりの愚痴をこぼした。
 ここは二人までを想定したアパートの住人専用シェルターだ。三人となると、狭いということもそうだが、より重要な問題に突き当たる。
 口には出さないが、備蓄している食料などを切り詰める必要があるだろう。

「見ず知らずの人と一緒になるよりマシだと思う」

 こんな状況で最初からマイナス思考はよくない。僕は努めてプラスになる材料を探した。
 公園や駅の地下に設置されている公共のシェルターは多くの人でごった返しているだろう。集団での避難生活は大変なストレスになるだろうし、長引いた場合を考えれば今の僕たちの状況は幾らかマシに思えた。 

「実家のシェルターはここより広いし部屋は2つあるぞ。まあ、どうせすぐに避難は解除されるんだろうがな」

 父さんは昔から能天気なところがあった。こんな非常事態でもまったく動じていなように見えるから不思議だ。

「俺が言うのもなんだが、三人は窮屈だな」

「仕方がないよ。当面は我慢するしか‥‥‥」

 ここにいるのが父さんじゃなく赤の他人であってもシェルターから放り出す訳にはいかないし。
  
 
 僕たち三人が座っているベッドの片方は壁に接していた。三人が並べば背中を預けて座ることができるが、三人が横になることは不可能な面積だ。

「お義父さん、奥の扉がトイレとシャワーです」

「ありがとう、七緒さん。まさかこんなタイミングで避難させられるとは‥‥‥夫婦水入らずを邪魔して悪い」

「水入らずって表現は違うと思うけど」

 父さんの発言に突っ込みを入れる。
 この調子じゃ先が思いやられる。

「あっ! モニターが勝手に―――」

 驚いた七緒の声で、壁に掛かっているモニターを見た。
 電源が自動で入り、誰もいない会見場のような場所が映し出された。軍服姿の見慣れない男が現れ演台の前に立つ。

『国民の皆さん、時間がありません。かいつまんで説明します。内閣総理大臣より緊急事態が宣言されました。シェルターにとどまりけして外には出ないでください。いま地球上のあらゆる地域で未知の危険が爆発的に広がっています。それは地球の外からやってきました。一見して蜘蛛のように見えますが―――』

 軍服姿の男の話が続く中、映像が切り替わり気味の悪い生き物が映し出された。
 それは全体が血を吐いたようにどす黒い色だった。体と思しき鱗を纏った塊から無数の触手が伸び出ている。 
 
 確かに蜘蛛に見えなくもないが、脈動する触手におぞ気が走った。映像では大きさを比較するためにタバコの箱が一緒に映っていた。見たこともない生き物は、触手を入れてもタバコの箱の半分くらいの大きさだった。

『―――真ん中の先端部分が顔です。よく見てください、驚くことに‥‥‥』

「ひっ―――!?」

 七緒が小さな悲鳴を上げた。僕も息を呑む。

『‥‥‥そう、この生物は笑っているのです。人間を前にして、不敵に‥‥‥つまりこの小さな体には知性が備わっているということです。我々は対話を試みました。しかしその結果は‥‥‥今の状況が答えです。この生物は人間の身体を宿主にして繁殖します。寄生された人間は自我を失いこの生物の意のままに操られるのです。つまるところシェルターの外は地獄です。安易に他人を信じてシェルターの扉を開けたり外に出ないでください。命の保証はありません。我々は今、この小さな侵略者と交戦中です。繰り返しになりますが、政府からの指示があるまではけして外には出ないでください』

 男の説明が終わると映像が切り替わった。どこかの街角の様子。手振れがひどく画面が揺れている。上空から撮影しているみたいな映像だった。

「ヘリからだな」

 静かな声で父さんが言った。

「たぶん渋谷辺りだと思うけど」

 見覚えのある景色、だからこそすぐ異変に気が付いた。

 映像の中、カメラが真正面に捉えたビルの壁面が赤黒く波打っているように見えた。カメラがゆっくりと近づくと、その原因がはっきりと映し出される。

「さっきの気色悪い生物か」

「ものすごい数だ」

 どす黒い色をした触手の生物が、ビルの壁面にみっしりと張り付いていた。映像を見ているだけで吐きそうになる。
 次にカメラが路上を映すと、そこにはふらふらとおぼつかない足取りの群衆が‥‥‥。

「まるでゾンビだな‥‥‥」

「操られてる‥‥‥!? シェルターに避難できていなかったら僕たちもあんなふうに‥‥‥」

「そんな‥‥‥幸人さん‥‥‥」

 七緒が震える手で僕の肩に抱きついてきた。
 このまま人類は滅んでしまうのだろうか‥‥‥閉鎖空間が恐怖を何倍にも膨らませる。
 シェルター内は絶望感で満たされようとしていた。

 と、間抜けな声で父さんが口を開いた。

「‥‥‥腹減ったな。とりあえず飯にするか」

 それは、いつもと変わらず自然で、シェルターにいることを疑いたくなるようなセリフだった。父さんの言葉に釣られるようにして、タイミングよく七緒のお腹がぐーっと鳴った。

「‥‥‥」

 横を向くと七緒が顔を赤くして俯いていた。

「と、父さん‥‥‥こんな時に」

 シリアスだった雰囲気が一瞬で霧散した。

「こんな時だからこそ飯だ。腹が減っては戦ができぬってな。それに俺たちができることといったら、このシェルターで生活する以外にあるのか?」

「そ、それは‥‥‥」

 僕は映画の主人公のように戦ったりはできない。知識も能力もない。

「色々考えても仕方ないだろ。俺たちはこの中で安全に健康で毎日を過ごす。ただそれだけだ。そうすりゃ、いつかは助けが来る」

 異論はなかった。父さんの言うことは至極真っ当で‥‥‥そうなんだけど、あまりにも緊張感がなさすぎた。

「ふふふ、お義父さん。なんだか少しだけ安心しました」

 七緒が小さく笑いながら言った。
 さっきまで血の気の失せた青白い顔をしていたのに、父さんの言葉で落ち着きを取り戻していた。

 
 シェルター生活最初の食事はカップラーメンだった。
 通路を挟んだベッド横の小さな調理スペースで湯を沸かした。電子レンジが備え付けられていて、停電にならなければ毎日の食事はなんとかなりそうだ。

「カップラーメンってのは、実は保存食には適さないんだ」

「あっ、それ知ってます。意外と賞味期限が短いんですよね」

「おお、なんだ七緒さんは知ってたのか~お主やるのぉ~」

「じゃあ次は私からの問題です―――」

 たぶん父さんは七緒のことを元気づけるためにワザと明るく振舞ってくれている。七緒もそれをわかったうえで付き合っているのだろうけど、ちょっと疎外感を感じる僕は器が小さいのだろうか。
 食事の後は、これからの生活について三人で話し合った。

「狭くても運動はしないとな。それから生活リズムは大事だから今までどおり夜になったら電気を消してきっちり寝るぞ」

 地下という環境、避難生活では日光を浴びることはできない。それだけで健康を損なうリスクだが、だからこそ父さんの言うようにリズムを崩さず時間を把握して規則正しい生活を心掛けなる必要がある。こんなところで病気になれば、それは死に直結する大事態ということになる。

「父さんの言うとおり健康第一で救助を待とう」

「はい」

 僕の言葉に七尾が力強く頷いた。
 方針というかシェルター生活の心構えが決まったところで父さんが大きなあくびを漏らす。

「ふぁあああ~~~」

 壁に埋め込まれているデジタル時計を見ると、時刻はいつの間にか午後9時を回っていた。

「さて寝るか」

 そう言った父さんがベッドをおりて床に寝転んだ。通路兼調理スペースの床上だ。

「お義父さん‥‥‥!?」

 七緒が困惑した声で父さんを呼んだ。

「うん? どうした七緒さん」

「お義父さん、ベッドを使ってください」

「いやいや、さすがに三人は無理だろう。ここはお前たち夫婦のシェルターだからな。居候は床で十分だ」

「で、でも‥‥‥それじゃあ‥‥‥私が床で寝ますから」

 嫁の義父に対する配慮というか遠慮。
 僕が七緒の立場なら同じことを言うだろう。

「だったら僕が床で‥‥‥!?」

 父さんに遠慮している七緒を床に寝かせる訳にはいかないし、そうなったら僕が床で寝るしかないのだが‥‥‥口をついて出た言葉を自分の耳で聞いてから、はっとした。
 僕が床で寝るとしたら‥‥‥ベッド上は七緒と父さんの二人に‥‥‥。

「がはは、俺は大丈夫だから、七緒さんも遠慮するな。ほれ幸人、さっさと寝るぞ」

 父さんは頑なに提案を拒否した。本当は息子の僕が床で寝ればいいのだが‥‥‥すまない父さん。

「七緒、父さんもああ言ってるし」

「はい‥‥‥すみません義父さん」

「べつに謝ることはない。なんなら妊活してもいいぞ。俺は気にせず寝るから」

「―――!? も、もう~お義父さんったら」

「父さん! そういう発言は‥‥‥」

「悪かった、悪かった。ちょっとした冗談だ。息子よ本気にするな」

 悪びれた様子もなく父さんは本当にいつもと変わらなかった。それがなんだか心強く感じたりもするのが不思議だ。

「毛布があるから下に敷くといいよ」

「おお、サンキュー」

 ベッドの足元にあった毛布を父さんに手渡した。
 消灯してから暫くして、豪快ないびきが狭いシェルター内に響き渡った。

「幸人さん、おやすみなさい」

「父さんも悪気はないんだ」

「わかっています」

「ありがとう七緒‥‥‥おやすみ」

 こうして僕たち夫婦に父さんを加えた三人でのシェルター避難生活が始まった。

コメント

  1. Gerald より:

    次の章の公開を遅らせないでください。可能であれば、複数章まとめて公開してください。