自分の愛液に塗れた田中の一物を、じゅぼじゅぼと卑猥な音を響かせながらしゃぶっている。
恥ずかしながら僕は一度も妻に咥えてもらったことがなかった。
そもそも夜の営みに対してはお互いに淡白なほうだと思っていたのだが・・・・・・考えを改めたほうがよさそうだった。
正常位から、そのままクライマックスへ至るものかと思えた行為は、田中が一物を妻の秘裂から引き抜いたことで中断された。
そして僕の目の前では、快楽に蕩けただらしのない表情の妻と、知り合って間なしの若い燕とのシックスナインが始まろうとしていた。
手慣れた様子で寝転がった田中が、少しだけ躊躇した妻に手を貸す。そして恥ずかしそうにして田中の顔の上に跨るとそのまま腰を下ろして前傾姿勢になり、自分から目の前の一物へと手を伸ばしていった。
「ううっ、ぐっぶっ、ぶぶぶっっ~~~」
逞しい一物で口を塞がれる格好の妻が、カエルが潰れたような声で咽び啼く。そんなに苦しいのなら咥えるのをやめればいいものを―――。しかし興奮を剥き出しにした妻は、目の端に涙を溜めてまでも他人棒は手放そうとはしない。
ああ、愛妻がこんなにもいやらしい女だったとは・・・・・・。
―――パチン!
しばらくシックスナインを愉しんだ2人だったが、突然、田中が妻の臀部を結構な力で平手打ちした。
「―――ぶぃひゃん!」
「奥さん、どうだ?」
「い、痛いわぁ~」
「おい、口がお留守になってるぞ」
新たに加えられた刺激に驚いた妻が、一物を吐き出して咎めるように言う。すると田中はさっきまでの優しい口調から一変して命令口調で妻に返した。どうやら田中は段々とその本性を現しつつある。
「―――うっぶっ!?」
再び一物を咥えた妻の臀部に容赦なく平手打ちが飛ぶ。それでも懸命に奉仕を続ける妻―――叩かれた尻が赤く染まってゆく。
田中は卑猥な音を立てて妻の性器を舐め上げ、その合間に臀部を叩いた。
一物を喉の奥まで咥え込んだ妻の口からは、泡沫状になった大量の唾液が溢れ出して、苦しいのか、はたまた気持ちがいいのか、そんな呻き声が漏れていた。
車庫の床にうつ伏せになり、息を殺して目の前の光景を眺めていることしかできない僕。一方の
田中は、まるで自分の所有物みたいに我が愛妻を扱っている。どうしてこんなことになってしまったのだろうかと今更ながらに後悔した。
平手打ちされた臀部の全体が真っ赤に染まる頃、田中に促された妻が四つん這いの姿勢になった。
括れに手をやった田中が力強く腰を進めた。
「っうぉおおん!! うはぁぁぁあああ―――!!」
犬のように背後から突き入れられた妻が、嬉しそうに大きな鳴き声を上げる。
最初から高速ピストンを見舞われ妻の頭は床すれすれに下がり、真っ赤な尻を田中に突き出す姿勢となる。
「奥さん、このまま出すよ!」
「―――うっ、うう、あああぁぁぁあああーーー、ダメっっっ、中は、駄目ーーー」
「うっ、で、出る―――!!」
「うっっっ! おおおぉおおおん~~~、い、嫌、だめ、外に~~~っっっん!」
ぱん、ぱん、ぱん、と肉と肉がぶつかり合う音が一際大きく車庫内に響いた。田中の腰が大きく突き出される姿勢で停止し、精液を絞り出すように全身を震わせている。
「―――出て、るぅっっっ~~~、中は、中は駄目だって言ったのに――― ぐうっ、うっ! っい、いいいっくくくううう~~~ん!!」
口では嫌だと言いながら、発情した牝犬のような姿勢で妻が大きく気をやった。体を大きく痙攣させたまま床に突っ伏した。
一物を引き抜いた田中が、うつ伏せになったままの妻から離れた。
そして近くに散乱している服の中からスマホを取り出すと、どこかへ電話を掛けはじめた。
「そろそろいいぜ。そうだ下の車庫な―――」
荒い息遣いで大きな絶頂の余韻に動くことができない妻は、田中が誰かに電話を掛けたことが分かっていない様子だ。
電話を終えた田中は、背後から妻の背中に覆い被さってゆき、すると頭と頭が横に並ぶ格好となった。
すると緩慢な動きで妻の頭が田中の方を向いた。恋人がキスをせがんでいるようにしか見えないのだが・・・・・・。案の定、互いの口を貪り合うようなキスが交わされる。
と、人がやってくる気配があった。
僕自身もそうだが、目の前の2人が見つかるのはもっとまずい。身構えているとその気配は迷うことなく妻と田中の前に立った。
「奥さん、俺も混ざるよ」
「―――えっ!? 渡辺君? ちょ、ちょっと待って――― な、なんなのよ田中君!」
混乱する妻が腰を浮かせて立ち上がろうとしたところで、体の大きな渡辺が上から組み敷いた。暴れようとする妻の両手を田中が抑え込む。
―――そして、僕はどうすればいいのか、と迷う暇もなくあっさりと挿入されてしまう。
「ぐううっ!! あ、嫌ゃあああ~、渡辺君止めて、う、嘘っ!? ちょっと、駄目――― ちょ、ちょっとなに、駄目だって、お、大きすぎ―――! あ、ああ、うう、あああ、駄目、いや、いやいや、ああん、また、いっちゃいそう~~~!」
小さな抵抗の後、田中の一物でほぐれた妻のアソコは、いとも簡単に渡辺を受け入れてしまった。そんなに時間がかからず恍惚の表情を浮かべはじめる。とても信じられない光景だった。
「あぁぁぁあああ――― ううはぁああああん」
「奥さん、気持ちいいよ!」
「ああ~ん、ちょっと、お願いだから―――ゆっくりして。ああ~またイキそう、ああ、駄目ぇ~~~い、いくうっ~~~!」
後からやってきた渡辺にいとも簡単に絶頂させられた妻は、体をビクビクと痙攣させながら悩まし気な表情で眉間に皺を寄せる。
妻が気をやったことで渡辺は密着したままピストン運動を止めた。
「―――凄い締め付けだ!」
「ぐううっ―――! い、いい~~~気持ちいいの~」
「奥さん、どう? もっと俺たちと気持ちよくならないか?」
抑え込んでいた妻の手を離した田中が、絶頂の余韻に浸っている妻の耳元で囁くように言った。その返答次第では僕も覚悟を決めなければならない。あの2人の青年から愛妻を助けなければ。
「・・・・・・たい」
荒い息を繰り返している妻がすぐに反応する。
「奥さん、聞こえないよ。もっと大きな声で」
「―――なりたい。もっと、もっと気持ちよくなりたいの~!」
本心なのだろうと思う。絞りだすように言った妻の足が下から渡辺の腰に巻き付いた。それを受けた渡辺の腰がピストン運動を再開する。
「あん、もっと、もっとよ。もっと気持ちよくさせて~!」
夫が覗いていることを知らない愛妻は、欲望に滾った青年たちにまんまとのせられ、ついに牝の本性を晒した。
嫌がる素振りは微塵もなく快感を全身で受け止めるかのように自らの腰をせり上げる。
そんな妻の口元に田中が自身の一物を近づけると、さも当たり前のように咥えた。
「うぶっ、ぶ、ぶっ、ぶじゅ――――――」
目の前で始まった2人の青年と妻の饗宴。
上の穴と下の穴をいいように使われ、それでも嬉しそうに咽び泣く様はこれ以上見ていられない。
それでも床に擦り付けていた僕の一物はいまだに滾ったままで・・・・・・。
目の前で妻を寝取られて興奮するなんて―――自分にこんな性癖があったことに驚いた。
◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇
妻のことは心配だったが、さすがに最後までは見届けられなかった。
勃起した一物を床に擦り付けて射精すると1人で船室に戻り、目隠しのカーテンを閉めて寝台に寝転がった。
しばらく3人を待ったのだが、一向に戻ってくる気配はない。
目を閉じてみたものの、妻の痴態が脳裏に焼き付き興奮が冷めなかった。情けない夫だと自覚しながら硬くなった一物に手が伸びた。
◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇
「―――おはよう、あなた起きて」
ぼやける視界が鮮明になると、僕の顔を覗き込む何時もと変わらない妻の顔が目の前にあった。
なかなか3人が戻ってこないので、僕は寝落ちしていたみたいだ。目が合うと僕の方から視線を外した。
「いい天気よ。あら? まだ顔色が悪いみたい。船酔いって厄介ね」
そう言った妻の表情はいつもより晴れやかで、どことなく肌艶も良い。
「・・・・・・なんだか頭が重くて」
「大丈夫?」
「船を降りればよくなると思うよ」
夫に性の饗宴を覗かれていたとは考えもしない妻に、微塵も悪びれた様子はなかった。
ふと隣の寝台に目をやった。すでに田中と渡辺の姿はなく荷物も見当たらない。
僕の視線に気づいた妻が素っ気なく、「車庫に降りて準備するって。あなたによろしくだって」
と答えた。
旅の恥は掻き捨て、という言葉が脳裏に浮かぶ。
妻と見ず知らずの若者たちとの複数人プレーを見せられて、そんな言葉が到底当てはまるとは思えないのだが、何とか自分の気持ちに折り合いをつけなければならなかった。
僕たち夫婦は下船の準備を始めた。とは言っても、手荷物は貴重品を入れたカバンだけ。殆どの荷物はバイクに括り付けたままだ。
「そういえば、お腹は大丈夫? けっこう長いトイレだったと思うけど」
「―――えっ!? お、起きてたの?」
みるみるうちに妻の表情が曇ってゆく。僕の視線を避ける様に下を向いた。
「トレイから戻ってくるまで起きてようと思ったけど・・・・・・ 酔い止めのせいかな、いつの間にか意識が飛んでたよ」
僕が敢えて嘘をつくと、妻は分かりやすく安堵の表情を浮かべた。
2人の青年はもう客室に戻ってこない。僕と顔を合わせるのを避けて早々に車庫に降りたのではないのだろうか。
僕の耳には妻と田中のセックス中に交わされた会話―――ツーリングの同道の話が鮮明に残っていた。
しかし妻の態度は何時もと変わりなく、それに若いツバメたちも目の前からいなくなってしまった。やることをやって興奮が冷め、現実に戻ったというところだろうか。
接岸を待つ間、妻の不貞の原因を考えてみた。
―――子供から離れての夫婦2人旅。
開放的な旅の雰囲気や、久しぶりのツーリングの高揚感に当てられたから?
若い男の口車に乗った妻を情けないとは思うが、僕自身にも大きな原因があった。変な好奇心を抱かなければ止めさせるタイミングはいくらでもあったのだ。
しかし知り合ったばかりの若い男たちに、あっさりと股を開いた妻をすぐに許せるとは思えない。ただ唯一の救いは旅先だったこと。
僕たち夫婦の生活圏での、情を通じた重たい不倫ではなかったということだ。
あれこれと考えているうちに船の接岸を知らせるアナウンスが聞こえた。
「行こうか」
「出発ね」
僕ら夫婦は荷物を持って船室を後にした。
車庫へ続く階段と通路には人が溢れ、僕たち夫婦は最後尾に位置した。少し時間がかかって車庫へ下り愛車を前にする。チラリと妻を見て、こいつだけは俺を裏切らない、と心の中で呟いて愛車のタンクを撫でた。
イグニッションにエンジンキーを差し込むと、このバイクで北海道を一周するのかと感慨深い。
荷物を積み直しながら周囲に視線を走らせた。
しかし同部屋だった2人の学生の姿はすでになかった。
妻の不貞の事実は消えてなくなりはしないが、ひとまずはホッとする。
「もう彼らは行ったのかな・・・・・・」
僕と同じように荷物を積み直している妻の背中に声を掛け、慎重に様子を窺った。
「―――そうね。最後に挨拶したかった?」
やはり何時もと変わらない様子。どちらかと言えば、素っ気ない。
「田中君だったかな、一緒に北海道を走りたいって言ってなかった?」
僕の問い掛けに妻の動きが止まった。
「そ、そうかしら? うーん、そんな話してたかな―――――― でも私達のペースと若い子のペースは違うから・・・・・・ もし一緒に走ったら私たち足手まといだね」
「―――だな。また途中ですれ違うかも」
「そうかもね」
僕の揺さぶりに少し動揺したものの、やはりあまり興味がなさそうだった。―――そう信じたい。
まあ、今更になってあれこれ考えても仕方がないとも思う。
夫婦と言っても元は他人。妻の本音を知る術なんてあるはずがない―――。
下船の準備を済ませた妻がエンジンを掛けた。
僕も遅れないように準備を済ませると、妻の後に続いて北海道の大地にバイクを乗り入れた。(完)
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