擬似、請負い妻 第13話

NTR官能小説
 リビングに、抑えの効かなくなったゆり子の喘ぎ声と、木村の荒い息遣いが響いていた。目の前の二人は、俺の存在を置き去りにして、擬似的なセックスに没頭していた。

 まさか、療治を主導するゆり子までもが、自制心を失うとは―――。俺の親友、俺の妻とは言え、所詮はただの男と女だったということだ。
 
 自分の考えの甘さを後悔しつつ、ズボンの上から勃起に手を添えて、目の前の行為を見守った。
 
 気持ちよさそうに腰を振り立てている木村が、明確に拒絶されたにも関わらず、ゆり子の唇を奪おうと、何度も顔を近づけていた。その都度、ゆり子は頭を左右に振って木村の顔を避けている。

 自制心を失っているように見えるゆり子だったが、最後の一線で踏み留まっているようだ。

 我慢の限界だったのか、木村の唇は軌道を変えて、ゆり子の白い首筋に吸い付いた。

「―――ひゃん!」

 悲鳴に似た声を上げるゆり子。それに構わず、木村の唇は汗が浮いた白い首筋を上下して、ぶちゅぶちゅ、と粘着質でいやらしい音を立てた。

「ダメ、だって――― ルール違反、なんだ、から、うぁはん!」

 制止する言葉を口にしているはずのゆり子の顔は、新たに加わった刺激で、夫の俺でも見た事がないくらいに卑しく歪んでいた。

 吸いついた木村の唇が、ぶっちゅ~、と一際大きな音を立ててゆり子の首筋から離れると、そこには真っ赤なキスマークが刻まれていた。

 まるで野良犬が自分の縄張りを主張して、マーキングしたかのようだった。無言の木村が、ゆり子の体を自分の所有物だ、と言っているように感じる。

 俺が勝手にそう感じているだけなのは分かっている。親友が妻の体にキスマークを刻んだ行為に激しく嫉妬し、その嫉妬を上回るのではないのかと思えるほどの興奮を覚えていた。

 真っ赤な情交の証を目にした木村は、完全にタガが外れたようで、付けたばかりのキスマークの上に躊躇なく舌を這わせた。悶えるゆり子が、激しく頭を振る。
 
 蛭のように吸い付いた木村の唇は、ゆり子が激しく動こうが一向に首筋から離れることはなく、白い首筋は短い時間でテラテラと唾液に塗れた。

「―――うう、うっうん、っうううん」
 
 首筋を舐め吸われ、新たな刺激が加わったことで、ゆり子はついに切羽詰まった声を上げ始めたた。このままでは、木村の射精どころか、ゆり子の方が先に絶頂を迎えかねない状況だった。
 
 ゆり子の反応を見る限り、タオルケットの中では、ぬいぐるみが外れ、間違いなく本当の素股が行われていると思われた。
 
 ホットパンツ越しなのか、ショーツ越しなのかは分からない。いずれにせよ、物理的に強い刺激が加わっていなければ、ゆり子の反応は説明がつかなかった。

 ゆり子の喘ぎ声に、木村の荒い呼吸が重なる。木村の腰のリズムが小刻みなって、スピードが上がった。射精が近いことが窺える。受け止める体勢のためか、ゆり子の動きが止まったように見えた。

 同じ部屋にいながら、まるでアダルト動画を観ているような感覚で、俺は自身の一物をズボンの上から扱いていた。

「―――っつつつ、うう、うあん、ああああああっっっ!」
 
 ゆり子の嬌声が、愉悦の悲鳴へと変わりつつあった。

 ―――不意にゆり子と目が合った。

「ああっ、あああん。む、向こうに、あっっっ、向こうに行ってて――― ああ、うううっ――― お願い、見な、いで、向こうに行って、こっちを、見ないで・・・・・・」

 卑しく歪んだゆり子の顔。俺に向けられていた視線が、ダイニングの方へと向けられた。

 妻の懇願に、後ろ髪を引かれつつ、俺はダイニングへ移動する。ゆり子の喘ぎ声を聞きながら、リビングに背中を向けるかたちでテーブルの椅子に座った。

 俺の視線が切れたことが分かると、ゆり子が我慢していた愉悦の悲鳴を上げた。

「―――っっっいいいん! 気持ちいいいっ! き、キム兄来て!! ああ~イキ、そう―――あああっああん~~~!」

「ゆり子ちゃん――― お俺も、めちゃくちゃ気持ちイイ・・・・・・ ぐううう、イキ、そうだ
っ!!」

「いいよ、んうううっ、はあ、あああん~~~出して、出して、キム兄の熱いのちょうだいっっっ―――!!」

「―――ぐうううっ、で、出る!!」

「あああっっっんんん、っはあああん、ぐうっ、私、ダメ、なのに、ダメなのに―――!! キム兄でイッたら、ダメ、なのに・・・・・・ゴメン、ゴメンなさい、いく、いくいくいくイクっっっ~~~!」

 ドスン、と大きな音がした。せり上がった二人の腰が敷布団の上に重なって落ちたのだろう。同時に絶頂を迎えたようだった。二人の荒い息遣いが、生々しく目を閉じていた俺の耳の奥に響いた。

 暫くして背後で少し慌てたような、ゴソゴソ、と身なりを整えるような気配があった。振り向くと、すでに木村はズボンを履いていた。

 布団に近くに、ゴミ箱が引き寄せられているのが見えた。その中には、使用済みのコンドームが捨てられているのだろう。

 ゆり子は、股間にあてがっていたぬいぐるみを胸に抱いて、敷布団の上にちょこんと座っていた。
その横には、掛けていたタオルケットが乱雑に丸まっている。

 二人の顔は汗で濡れ、上がった息を整えていた。俺はゆっくりと、ダイニングからリビングへ移動し、オットマンに腰を下ろした。

 二人の視線が、無言で俺の動きを追っていた。

「最後までいけたのか―――?」

 俺が口を開くのを待っていたのか、重い表情の木村が即答した。

「・・・・・・ああ」

 木村は短い返事だけで、その後に言葉が続かなかった。

「そうか。とりあえずは成功だな」

 俺の心中を窺っていたのだろう、落ち着いている俺の様子に木村の表情が少しだけ和らいだ。

「これで女性恐怖症は改善されたと思うよ」
 
 成功を謳うゆり子の表情も冴えないでいた。

「そうか。よかったな」

 どこか投げやりな俺の言葉に、ゆり子が唇を固く結んだ。

 夫婦の気まずいやり取りに、木村が反応した。

「その、悪かった・・・・・・」

 何が悪かったのかを、木村は口にしなかった。ゆり子の視線が俺と木村の間で揺れていた。リビングは、互いの腹の探り合いのような重苦しい雰囲気に包まれていた。

「悪かったって、なんのことだよ」

 俺は敢えて、とぼけてみせた。

「その・・・・・・ ルール違反があった」

 俯いた木村が絞り出すように言ってから、すこし間をおいて話を続けた。

「もの凄く興奮して、抑えが効かなくなった。俺が悪い・・・・・・」

 ルール違反の内容を語らず、ゆり子をかばう様な言い方に腹が立つ。詰問の言葉を選んでいると、ゆり子が会話に入ってきた。

「キム兄は悪くないよ。提案したのは私だし・・・・・・ あなたも了承したじゃない―――、それに、興奮したってことは、女性恐怖症が改善されてるってことだから」

 理屈を捏ねて誤魔化そうとするゆり子にも腹が立った。自然としかめっ面になる。

「信太が怒るのも分かるわ。ルール違反があったのは事実よ。―――言っても怒らない?」

 俺の様子を窺いつつ、上目遣いでゆり子が言った。言葉の端に甘えたような響きが含まれていた。
正直に言えば、いつものように許されると分かっているのだ。呆れながらも、冷静に努めて話を聞くことにした。

「ああ、怒らない。キムの恐怖症も治ったみたいだし。だいたいのことは、見ていて察しがついたけどな」

「気が付いたら・・・・・・ 挟んでいたぬいぐるみがなかったのよ」

「―――イッたよな」

 ストレートな俺の言葉に、ゆり子の頬が赤くなった。

「悪かった。俺が激しく動いたから・・・・・・ 勢いで外れたんだと思う」

 話に割って入ってきた木村が、ゆり子に合わせる様に、意図せずぬいぐるみが股間から外れた、と主張した。

 しかし、セックスごっこ中の二人の断片的な会話を思い返すと、目の前の二人の言い訳を鵜呑みにはできなかった。

 やはり、怪しい動きがあったと思う。だが、そのことを蒸し返したところで、過ぎた時間が戻る訳ではなかった。

 タオルケットの中の状況について、二人が誤魔化さずに正直に話してくれたことは評価できるのだ。大きな溜息が漏れた。

「分かった。ぬいぐるみが外れても、その、なんだ―――、 直接じゃないから素股は、素股だ。キムが治ったなら、それでいい。でも、キムはゆり子で本当に興奮できたのかよ」

「どういう意味よ」

 非日常の中にいるからだろうか、頬を膨らませて怒った表情のゆり子がいつになく愛おしく見えた。

「正直めちゃくちゃ興奮した。でも本当に悪かったと思ってる。ぬいぐるみが外れた時点で、止めとけばよかったよ」

「いいさ。腹も立つが、これで女性に対して耐性ができただろ」

「見合いを思うと怖いよ。でも、なんだか楽しみになってきたよ」

「そうか。で、ちょっと聞いてもいいか? ゆり子との素股は、その・・・・・・」

 歯切れの悪い俺の言葉に、二人は首を傾げ、目を合わせた。

 暫く考えて、疑問に思い当たったゆり子が答える。

「ぬいぐるみが外れてからホットパンツ越しにしてたけど・・・・・・ その後は裾から入ってきちゃって――― ショーツ越しにしちゃった」

「―――悪い」

 ゆり子の告白に、木村が深く頭を下げた。

 親友の木村の一物が、俺のすぐ傍で、妻の股間に肉迫していた。その事実に、目の前が真っ暗になるのと同時に、俺の萎えかけていた一物が反応して、こっそりと硬さを取り戻したのだった。

 
 ◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇

 
 療治が終わると、一気に眠気に襲われた―――。
 
 それは、ゆり子と木村も同じだったようで、木村はリビングに敷いた布団にそのまま横になり、俺とゆり子は寝室で就寝した。

 ―――夢を見た。
 
 現実では見えていなかった、タオルケットの中の情景が浮かぶ。ショーツの裾から差し入れられた逞しい肉棒。溢れ出た愛液で、その輪郭を透け晒しているゆり子のショーツ越しの股間。逞しい肉棒が擦り付けられる度に、愛液が染み出てきてコンドーム越しに絡みつく。
 
 時折、肉棒の先端がショーツの裾を割ろうとするが、なかなか上手くいかない。何度もショーツの裾を目がけていると、その動きを察したゆり子の腰が軽く浮いた。
 
 声の出せない俺の目の前で、逞しい肉棒がゆり子の割れ目に埋没してゆく。怒りや焦りよりも興奮が勝り、俺は自身の肉棒を懸命に扱くのだった―――。

 子供の夜泣きに起こされることなく朝を迎えた。見た夢の内容がすぐに曖昧になった。隣を見るとゆり子の姿は既になかった。胸騒ぎに飛び起き、慌ててリビングへ移動した。

 リビングを覗くと、木村がまだ寝ていた。

「疲れたんでしょうね。もう少し寝かせてあげよ」

 俺の背中に、子供を抱いたゆり子の声が掛かる。

「おはよう。・・・・・・そうだな」 

 振り向いた俺は、ゆり子の様子を観察した。

 何時起きたのかを何気なく確認すると、外が明るくなって子供が目を覚ましたので先に起きた、とのことだった。

 いつもと変わらない妻の様子に、妙な勘繰りをした自分が恥ずかしくなる。しかし頭の中では曖昧になった夢の中の感覚が残っているのか、俺が寝入った後に一人起き出すゆり子の姿を妄想してしまった。

 木村が起きると、三人で朝食をとった。

 擬似的にだが、俺の妻で童貞を捨てた木村は、ゆり子の前で少し緊張気味に見えた。一枚上手のゆり子は、木村の態度を想定していたように気さくに話しかけ、木村の緊張を解した。

 楽しそうに会話をする二人を見ていると、気のせいだろうか、以前よりも少し精神的な距離が近くなっているように感じる。以前は、家飲みにもいい顔をしなかったのに。

 ゆり子と木村の関係は、当然のことだが俺を介することでしか成立しないはずだ。しかし今朝の二人は、時々、俺の存在を置き去りにしているような場面があった。

 木村が帰ると、ゆり子は子供のオムツを交換するために寝室に消えた。素早くリビングのゴミ箱の中を確認する。

 いつのまに片付けたのか、昨夜の使用済みコンドームは見当たらなかった。
 そんなゴミを積極的に見たいとは思わないが、昨夜の出来事を現実として認識し、俺なりに受け止めたかったのだ。おそらく、臭いがするので、ゆり子が早々と片付けたのだろう。

 次に脱衣場へ移動した。洗濯籠を確認する。洗濯物をかき分けて、目的のものを探すが見当たらない。
 
 洗濯機の蓋を開けて中を確認した。
 そこに目的のショーツがあった。昨夜ゆり子が履いていたものだ。ゆり子の気配が近くにないことを確かめて、ショーツを手に取った。クロッチ部分を確認する。コンドームが破けて、木村の精液が掛かっているというようなことはなかった。

 内側を見ると、そこには広範囲に染みが広がっていた。クロッチ部分だけではなく尻を包む布地にも濡れ染みが確認できた。

 相当に濡れていた事が分ると、昨夜のゆり子の乱れようが、療治のための芝居だけではなかったことが窺える。

 妻の下着を手に、俺は激しく興奮していた。ショーツを元の通りに洗濯機の中へ戻すと、急いでトイレに駆け込んだ。

コメント