テーブル席にある2人掛けのソファー。
そこに俺たちの体は窮屈にハマり込んでいた。
「はぁん、あん、うう――― いまさらぁ、ああ、なんだけど、ゆり子さんに、うっ―――悪いわぁ」
「そんなこと言ったら俺だってキムに」
俺と珠希さんは服を脱ぐ余裕もなく、互いの下半身だけを露出するようにして正常位で繋がっていた。これはこれで背徳感が増して興奮する。
「週末どんな顔してゆり子さんに会えばいいのぉ―――ああぁ、それ、ああぁ気持ちイイっっっ! うっ、あぁぁん」
珠希さんが話しているのでピストン運動を緩めた。
そして最奥に届くように深く、抜けてしまいそうな程に浅くストロークを長くとった。
しかし、それが裏目に出た。珠希さんの体が小さく痙攣し、会話を中断した珠希さんに下から睨まれてしまった。
珠希さんの言う週末とは、例の『人妻バイアグラ作戦』決行日のことだ。
「もう~人が話しているのに、意地悪ぅ」
「いや、その逆だよ逆。ゆっくりしたほうが話やすいかなって」
「気持ち良すぎて軽くいっちゃった」
頬を膨らませて俺を睨んだままの珠希さん。でもその目は怒ってなんかなくて。
それに体を小刻みに震わせながらイッたことを告白する珠希さんに対して、俺たちの関係性上、絶対にあってはならない愛おしいという感情を抱いてしまった。
もう何度も深いキスをして、珠希さんの口の周りは俺の唾液に塗れていた。それでも俺は飽き足らず珠希さんの耳たぶを舐め回し、真っ白い首筋に何度も舌を這わせた。
「舐めるの好きなんだぁ~ああん、変態さん―――」
あどけない少女のようにも見える整った顔立ちの珠希さん。
その口から漏れるハスキーな声がアンバランスで、そんなところが非常にエロかった。
キスマークを付けないように意識していたはずなのに―――気が付けば色々なところを舐め回し、柔らかい肌に強く吸い付いていた。
「あ、ああぁっぁあああ、信太さん気持ちイイぃぃぃ~~いいのぉぉぉお~」
「珠希さん―――俺も、すごく気持ちいい」
服の上から揉んでも珠希さんの胸は大きくて柔らかい存在感があった。欲深い俺はどうしても珠希さんのおっぱいをしゃぶりたい欲求に駆られた。
大きく開いた胸元に手を入れて大きなおっぱいに触れようとするが、ブラジャーが邪魔をしてなかなか上手くいかない。
すると俺の意図を汲んだ珠希さんが妖艶に笑って自分でワンピースの胸元をはだけさせ、ブラジャーを露出させるとそのカップを下にずらすようにして真っ白い乳房を露出させた。
―――乳首が見えた瞬間、興奮のあまり思わず射精しそうになる。なんてエロい格好なんだよ珠希さん。
俺は夢中で珠希さんのおっぱいにむしゃぶりついた。
「―――はっぁ! うっうぅぅぅんんん~~~」
珠希さんの乳首はすでに勃起していた。
両手で豊満なスライム肉を揉み込むようにして弄びながら、少し大きめでいやらしい乳輪に吸い付いた。
興奮していても珠希さんをもっと気持ちよくさせたい、もっとエッチな反応を見てみたい、という男の欲求は確かなもので―――意図的に勃起した乳首を咥えることを避けたのだ。
「うう、あん、ああ、うううっ」
ピストン運動を続けながらスライム乳を責め立てる。そして全体がおれの唾液に塗れたころ珠希さんが切なく訴えた。
「お願いぃんんん―――! ち、乳首を、乳首吸ってぇぇぇ~~~!」
「新婚の奥さんがそんなことお願いしちゃダメだよ」
「だ、だってぇ~ 信太さんが意地悪するんだからぁああん!」
ピストン運動を深い位置で止め、俺の腰が円を描く。
「うっ、うううう、あああーーー!」
「じゃあ、もう1回お願いしてみようか」
「乳首を―――」
「違う違う。新婚って言わなきゃ」
「ううっ、信太さん意地悪ばっかりなんだからぁ~~~ し、新婚の私の乳首を、吸って、吸って 下っ―――うっ! うぐううぁぁぁあああ」
俺も我慢の限界だった。腰の円運動はそのままに珠希さんが言い終わらないうちに真っ赤に充血した乳首に吸い付いた。
ちゅうちゅう、と音を立て強く吸い上げると、珠希さんは俺の頭を抱きかかえた。舌を使ってしごいてやるとイヤイヤをするみたいに頭を左右に振って悦びを表した。
「ああ~~気持ちいいぃ~ ゆり子さんには申し訳ないけど、信太さんと体の相性がいいのかも」
「俺もハマりそうなくらい、めちゃいいよ」
正直な感想だった。子供が生まれてゆり子とはセックスレスだったが、セックスがこんなに気持ちいいものだったなんて―――それを親友の奥さんで再確認してしまうとは・・・・・・。
離れがいたオッパイから顔を上げ、珠希さんと見つめ合った。深くキスをしてピストン運動を再開する。積極的に舌を絡めてくる珠希さんにの唾液はとても甘かった。
そして珠希さんが俺の腰に回している両足をクロスさせて体を密着させた。それは最後の快楽を貪る暗黙の了解みたいなもの―――。
お互いに家庭があり、今夜は時間に限りがあった。
ここで『だいしゅきホールド』ってことは中出しオッケーってことだよな・・・・・・。俺はコンドームをつけてないのだ。
珠希さんの頭を抱きかかえるようにして早く、そして深いピストン運動に移行した。
「ううっ、うう、あああ、ああっん―――」
「気持ちイイよ―――珠希さん」
「私も、ああ、いいの、気持ちイイよ~~~ ああぁぁぁ一緒にぃぃぃ、いっしょにぃ~きてっ~~~!」
込み上げる射精感。
珠希さんを強く抱きしめると、反対に強くしがみついてくるような感覚があって。
「珠希さんイクよ~!」
「いいわぁ、あ、あぁぁぁ――― きてきてきて、一緒にぃぃぃあああ―――イク! イクイクイクぅぅぅ~~~ い~~~くぅううう~~~~~~!!」
いつもより射精感が長く、出した量も多い感覚があった。
射精の瞬間は本当に頭の中が真っ白になってしまい―――抜くことも忘れて脱力し珠希さんの体に覆い被さって動けなくなってしまった。
その下で珠希さんは絶頂の余韻に体を暫らく震わせていた。
身なりを整えた俺と珠希さんは、カウンター席の椅子に隣り合って座っていた。どちらも缶ビールを飲んでいる。
「どうして吾妻は信太さんの携帯番号を知ったのかしら・・・・・・」
「俺はてっきり珠希さんが教えたのかと」
「絶対に教えないわよ。でも・・・・・・ たぶんスマホの中身を勝手に見られたんだと思うわ」
あの男ならやりかね。たぶんそうなんだろう。通話アプリの履歴を読んだからこそ俺たちの関係を知ることができたんだ。
「そういえばアルバイトの女の子がいるって聞いてたんだけど?」
「この状況で気にするとこ――――!?」
「鋭いツッコミありがとです」
「吾妻が手を出すから続かないのよ」
「っていうことは、つまり珠希さんも・・・・・・」
「正解。あの性欲モンスターが見逃すわけないでしょ」
「ごめん。嫌なこと聞いて」
「・・・・・・大丈夫。信ちゃんって不思議。信ちゃんだったら何でも話せちゃう感じがするわ」
「し、信ちゃん!? 珠希さん距離感がバグるよ・・・・・・俺も、珠ちゃんって呼んじゃおっかな~」
「うふふ―――2人きりの時は珠希って呼び捨てでいいわ」
「さすがに呼び捨てとか・・・・・・うーん、年上だし・・・・・・」
「あのね~ 年上、年上って失礼だからね」
「っと、悪かったっす。じゃあ、た、珠ちゃんは?」
「考えたら親友の奥さんを呼び捨てはないか~猫みたいだけど珠ちゃんでいいよ。ほら呼んでみて」
「珠ちゃん」
「な~に、信ちゃん」
これは酔いが覚めればダメなやつで―――顔を合わせづらい週末の未来が想像できた。
俺は『過ちの夜』の出来事について改めて謝罪した。
そして珠希さんは、吾妻との出会いと今の状況について話を聞かせてくれた。
なんでも早くに亡くなった父親の借金を、当時肩代わりしたのが吾妻だったということで、その接点が吾妻との出会いに繋がり、学校を卒業したばかりの経済的に弱い立場の珠希さんを手玉に取って今に至ると―――。
「借金の金額は?」
「聞いてどうするの? 信ちゃんが返してくれるの?」
「キムの貯金と俺の貯金と、あと実家の―――」
「―――ごめんなさい。本気にしないで、冗談で言ったんだから」
「いや俺は真剣に考えてるよ」
「・・・・・・信ちゃんはズルいくらいに優しいな」
金を借りるとなると金額にもよるが、それなりの理由ってものが必要になってくる。そんなことは子供にだってわかる理屈だ。
それでも力になりたかった。本気のセックスをした後では説得力はないけれど、親友とその奥さんを助けない理由はない。
見れば珠希さんは泣いていた。
「私は達男さんを騙している悪い女だから―――本当は結婚なんかしちゃだめだったのよね。なんで信ちゃんは怒らないの? 私は信ちゃんの親友を騙してる・・・・・・なんで優しくできるのよ」
互いの事情を正直に話し合えた事で、明らかに俺と珠希さんの心の距離は近づいていた。酒の勢いもあったんだろうけど、さっきのセックスはちょっと端のほうに置いといてくれ・・・・・・。
だからだろうけど、珠希さんの苦しい胸の内を知ることができた。
「嬉しそうなあいつの顔を見てると―――怒る気持ちなんて湧かないよ。そもそも感謝しかないから。あいつの笑顔を見てれば何が正解なのか、そんなことは考えるまでもない。珠希さんは騙してるって考えたり、言っちゃダメだ」
「信ちゃん・・・・・」
「俺も簡単に助けるとか、そんな無責任なことは言えないけど――― 色々と考えてみるから」
俺が渡していたハンカチをどこからか取り出した珠希さんが涙を拭いた。
なんかしんみりとした雰囲気になってしまっていた。
「ありがと、信ちゃん。今夜は色々あって少し弱気になってるみたい。もう少しだけ自分で頑張ってみるから。それでもダメなら相談に乗ってくれる?」
「まかせとけ」
と、ここで啖呵を切って帰ったらよかったのだが・・・・・・。
「30万円はちょっと待ってくれない?」
一晩30万円。小遣い制のサラリーマンには夢の金額だ。払えない金額ではないのだが、すぐに工面するとなると、それはそれで難しい。
「受け取るつもりはないわ」
当然のように言う珠希さんが、裏で30万円を用立てる場面を想像した。
「いや俺も男だ。実際に珠希さんとこういうことになったし・・・・・・もちろんお金の関係じゃないのは分かってるよ。だけど珠希さんが吾妻にお金を出すのは間違ってる。珠希さんがあいつに金を渡すのは返済の時だけじゃないといけない。3倍の料金は俺が言い出したことだし」
「ふふ、わかったわ。じゃあ半分は信ちゃんが払う。残りの半分は私が・・・・・・本気で楽しんだから・・・・・・」
そう言った珠希さんの顔は、酒の影響があるにしろ真っ赤に染まっていた。
珠希さんの譲歩を受け入れた俺は小さく頷いた。財布を取り出して中身を確認しても15万円は入っていない。
「手持ちがないんでしょ。だったら私が立て替えとくから」
「・・・・・・お願いします」
ここは敬語で深く頭を下げた。
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