暗闇の中、帰郷してからすっかり見慣れてしまった天井を静かに眺めていた。
台所を挟んだ居間の方からは、テレビの音に混じって同居の家族の話し声が聞こえてくる。ぼそぼそといった感じで内容までは聞き取れない。介護ベッドに寝かされている和義は、自然と耳をそばだてていた。
隣のベビーベッドでは、長女の桃香が小さな寝息を立てている。今夜は珍しく、妻が寝かし付けて以降に一度も夜泣きがなかった。
(何のテレビを見ているのかな? 親父の声が聞こえるけど・・・・・・お袋も一緒だろうか)
普段あまりテレビを見ない妻。
いつもは子供を寝かし付けてそのまま一緒に寝てしまうのだが、今夜は「見たい番組があるの」と言って居間の方へ―――。
妻の言動に若干の違和感を覚えながら和義は天井を見つめ続けていた。
が、暫くするとテレビの音が聞こえなくなった。くぐもった声も止み会話が途切れたように思った矢先だった。
「―――いやぁ!」
抑えられてはいたが、明らかに悲鳴だった。
一瞬、テレビから聞こえたものだろうと納得しかけて、頭を横に振る。
続けて聞こえてきた、「―――だめ」とか「イヤ!」とか何かを拒否するような声は間違いなく妻のものだった。
居間の様子を窺うには、車椅子を使用するしかない。隣のベッドには長女がぐっすりと眠っていた。焦る気持ちはそのままに、体の不自由な和義は起き上がることを断念するしかなかった。
(いったい何をやっているんだ!?)
いつにない慌てた様子の妻の声。
それに被せるように男の声―――つまり父親昌義の声が聞こえてきた。
「大丈夫」だとか「親子だから」といった内容が、聞き耳を立てている和義の心拍数を上昇させた―――。
◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇
テレビ画面が消えた居間では、天井付近の壁面に設置されているエアコンの音がやけにうるさく響いていた。
中央のテーブル上には昌義が飲んでいる日本酒が注がれたコップが置かれていて、少し前からその量が減ってはいない。
ソファーに座った美智は体を大きく横にずらして、その無防備な背中を義父の昌義に晒していた。陶磁器のように真っ白い背中には、ブラジャーで締め付けられていた跡がくっきりと見て取れる。
「―――ただのマッサージだよ」
「お、お義父さん、だ、ダメですって」
最初は嫌がってみせた美智の抵抗は形だけで、直ぐに上半身を裸に剥かれた。
半身の姿勢で隣に座っている昌義は、脇の下から両手を回して美智の露わになった乳房を鷲掴みにした。
そして、まるで牛の乳しぼりのように大きく膨らんだ乳房の肉を捩り捏ねる。
「―――ううっ」
うつむき加減の美智の口からは遠慮がちな嗚咽が漏れ、暫くすると諦めたように昌義に体を預けてしまった。
家族の寝静まったマンションの一室。
2人きりの居間で行われる義理の親子の不健全なマッサージ。
お互いが無言だった。
「はぁあ~」
時折、溜息交じりの嗚咽を美智が漏らす。
そんな長男の嫁の色っぽい様子に、昌義の股間は血液を溜め続けた。
目の前では生々しい美智の首筋が汗をかき、昌義は思わず生唾を飲み込む。
強弱を付けて両乳を丹念に絞り込んでいくと、次第に昌義の両手は母乳に塗れ、なんとも言えない甘美な匂いが居間中に充満した。
「どうだ? 乳の張りがほぐれてきたぞ」
「は、はい・・・・・・ でも母乳でびしょびしょです」
途中から噴水のように噴き出した母乳が、居間の床や壁にまで飛び散っていた。
「あ、あの、拭くものを取ってきます」
そう言って立ち上がった美智は、両腕で胸の前を隠すようにしてそのまま脱衣場へと駆け込んだ。
(ああぁ、どうしよう・・・・・・)
ドアを閉めた美智は、短パンの中に手を差し入れショーツのクロッチ部分を確認して困惑する。
義父のマッサージを受け入れてから、股間がマグマのように熱く感じられ愛液がとめどなく溢れ出ていた。
美智は子供を儲けた一人の母親である。ウブな少女ではないのだ。義父のマッサージの意図は最初のマッサージの時から理解していた。
(こんなことを続けていてはダメだわ)
そう強く思ったはずの美智だったが――――――居間に戻ると母乳が溢れる胸をバスタオルで隠し、ソファーの上で再び義父のマッサージを受け入れた。
胸に押し当てられているバスタオルは既に湿り気を帯びて色が変わっている。そのバスタオルの下で、昌義の両手が母乳を溜め込んだ乳房を掴んだり捏ねたりしてまさぐり忙しく動き回っていた。
体の不自由な夫から見れば実家である。親が子供の面倒を見るのは当然だという考えもあるのだろうが、美智にとっては義父母であって様々な負い目を感じていた。
そのために義父の性的な意図が分かっていても、はっきりと『断る』という態度が取れないでいた。
それに、もう1つの理由――――――義父のエッチなマッサージに美智の乳首は自然と反応してしまい恥ずかしい程びんびんに勃起していた。
リンパを刺激するマッサージは、最初の内は痛みを伴うものであったのだが、徐々に痛みの感覚が浅くなり、次第にジンジンと子宮の奥深くに響くような感覚に変わっていった。
それは美智にとって夫の事故以来の感覚だった。久しぶりに女の部分を刺激され、義父の前で欲情していたのだ。
(絶対にダメ・・・・・・お義父さんなのに・・・・・・)
意識すると黒ずんだ乳輪の真ん中に咲いた禁断の果実からは大量の母乳が噴出した。
「美智さん、どうだ? いっぱい出して少しは楽になったかな」
昌義は興奮に息を荒げながらマッサージに名を借りた愛撫を続けた。俯いた美智子のうなじから目が離せないでいる。
「はい・・・・・・」
「そうか、そうか。どれ最後の仕上げに私が直接吸ってやろう」
ソファーに半身で座っていた美智は、後ろから両肩を掴まれて強引に正面を向かされると体を押されて背もたれに深くもたれ掛かる。
「―――お、義父さん!? ダメですよ・・・・・・」
そう言った美智子の唇は半開きで真っ赤な舌が見え隠れし、上目遣いで昌義を見つめる瞳は熱く潤んでいた。
「どうしよう―――お義父さん・・・・・・ 隣にはお義母さんが寝てるし、それに和義さんも・・・・・・」
「大丈夫だ。母さんは寝たら朝まで起きないし、和義も1人ではこっちにこれないだろう」
昌義の言葉に思案顔の美智子の瞳が大きく揺れた。
「―――じゃ、じゃあ、お願いします・・・・・・ 恥ずかしいから少しだけですよ。それとこの事は絶対に秘密にしてくださいね」
美智は変態的な義父の要求に応じた。そこには生活面での負い目以上の理由―――大きく染みを作ったショーツのクロッチ部分―――自分では気づかないふりをした。
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