和室の2人を警戒し、ズボンとパンツはすぐ履けるように少しだけずらしていた。
腰を屈め椅子に座っている珠希さんに前から抱き着く。すると待ったをかけるように両手で肩を押された。
「こっちから誘ったんだけど‥‥‥セックスは、ダメよ」
上気して頬を赤く染めた珠希さんが、酷なことを言った。
俺の一物は完全に起立していて抑えが効かなくなっているというのに。
それでも冷静な部分が残っていたのは、同じ屋根の下に互いの伴侶がいるから。
すこしだけ体を離すと、股を開いている彼女のショーツに小さな染みを見つけた。
「珠ちゃん濡れてるよ。我慢できるの?」
これから夫とセックスする人妻に何を言っているんだろうか? 自分が立案した計画なんだが‥‥‥。
「ほら、達夫さんとゆり子さんの治療―――素股だったら大丈夫よ。私の準備になるし、信ちゃんの方こそ我慢できる?」
首を傾げた珠希さんがハスキーボイスで囁いた。
そんなエロい声を聞かされては‥‥‥我慢出来なくなった俺は、再び彼女に抱き着いた。
珠希さんが座っている椅子の背もたれは、あまり角度がついていない。だから俺と珠希さんは椅子の上で向かい合って座るかたちになる。
対面座位で抱き合うと、彼女の方からキスを求めてきた。
「ん」
廊下の方へ耳をそばだてながら珠希さんのぷっくりとした唇にしゃぶりつく。唾液にまみれた真っ赤な舌に迎えられすぐにディープキスが始まった。
同時に勃起した一物を、彼女のショーツに覆われた股の中心へと擦り付ける。
「うっ‥‥‥」
喘いだ珠希さんが一瞬だけ口を離し、またすぐに俺の舌を求めてきた。
彼女の舌は甘ったるい味がした。口をすぼめて吸い立てれば、お返しとばかりに俺の舌が吸われる。
それに飽きれば互いが口を大きく開いて吸着し、唾液の交換に余念がない。人妻の唾液は蜜の味で禁断の美酒だ。
「う、ううぁ」
珠希さんの体が俺の腰の動きに連動して小刻みに動き始めた。だから椅子から落ちないよう彼女の体を強く抱きしめる。
数分しか経っていないが、擦り付けていた一物の滑りがスムーズになった気がした。
「た、珠ちゃん、下着がびしょびしょだよ。脱いだ方がいいじゃないか?」
言いながらも俺の腰の動きは止まらない。
「だ、ダメよ。う、うう、脱いでたら、おかしいでしょ。それに、あ、うっ、脱いだら絶対にセックスになるぅ」
珠希さんの指摘は本当のことで、こっちの目論見は看破されていた。気持ち良すぎて彼女の汗をかいた淫穴に一物をぶち込みたかった。
俺はあまりの快感に正常な思考が麻痺しているんだろう。
座っている椅子が腰の動きに合わせてガタガタと音を立てている。
「信ちゃん、ちょっと待って」
しばらく素股を続けていると彼女は体をひねってテーブルにあった自分のカバンに手を伸ばした。
「これ、着けて」
珠希さんが取り出したのは、まさかのコンドームだった。
「えっ‥‥‥!? これを?」
「早くしないと、このまま射精されたらショーツが汚れてバレちゃうから」
がっつく俺に珠希さんは諭すように言った。一瞬、セックスさせてくれるのかと期待したが、理由を聞いて納得と同時に残念に思う。
「わかった、着けるよ」
「お願い」
廊下を挟んだ向こう側では、妻のゆり子と木村が作戦に取り組んでいる。ただ不貞の前科がある2人だ、夫としての不安は拭えな。
だがしかし、そんなことを考えれば不思議と興奮が増した。もしかしたら珠希さんも俺と同じで、いつもより興奮しているんだろうか?
「音がしたらすぐに離れて」
ゴムを装着して再び体を密着させると、珠希さんに耳元で囁かれた。腰をゆっくり動かしショーツに覆われた秘所に一物を擦り付ける。
「うはぁ、うう、う、うっ!」
「珠希さんも気持ちいい?」
「気持ち、うぁ~、いい‥‥‥」
廊下の方は相変わらず静かなままで、反対にこっちの声が聞こえないかと不安になった。それでも腰の動きは止めることができない。
「入れたいなぁ」
耳元で囁くと珠希さんの全身がビクビクと震えて反応を見せた。
「ダメだって」
「絶対に気持ちいいと思うけど」
「あ、ちょ、ダメ、言わないでぇ~、あ、ああ、い、イキそう!」
抱き付いている彼女の腕に力が入った。イヤイヤをするみたいに頭を振って強くしがみついてくる。
「ちょ、ちょっと本当に待って―――これから夫とセックスするのに、ダメよ、今はダメぇ~ダメなのにぃ‥‥‥」
そう言った珠希さんの体がビクンと跳ねて、その後小刻みな震えがしばらく続いた。小さく気をやったみたいだ。腰の動きを止めて少しだけ体を離す。
ゆり子と木村が和室に消えてもうすでに10分以上、いや15分は経過していた。
危険な行為は潮時だろう。こっちは射精に至ってないが、珠希さんが気持ちよくなってくれたのならそれでいい、とそんな事を考えていたら――――、
「ふふふ」
まっすぐに俺を見ていた珠希さんが妖艶に笑った。
そしてショーツに手を伸ばしたと思ったら、秘所を覆っているクロッチ部分の布を横から捲った―――。
「た、珠ちゃん‥‥‥」
擦れた声が自然と漏れた。露わになった秘所は汗をかいたように濡れ濡れでパックリと開いていた。
真っ赤に充血した淫肉が覗いている。とめどなく透明な蜜が流れ出て、部屋中に淫靡で独特な甘い香りが立ち込めた。
「――――いいの?」
彼女の意図はすぐに理解できた。俺の我儘を聞いてくれたのか、それとも我慢できなくなったのか。
だがこの状況で本当に繋がっていいのだろうか? 見つかれば終わりだ。
「早く、入れて。私も我慢出来ないから‥‥‥」
淫乱な人妻の本音が聞こえると、一物が硬さを増した。
もの凄くエロい格好――――背もたれに体を預け股を大きく広げた人妻の珠希さん。自分でショーツを捲って淫穴を見せつけている。俺は陳腐な考えを捨て、下着を身に付けたままの彼女と繋がった。
「あぁ、ああ、深いわ~、ううっ、ううぁあああ!」
珠希さんの口から嬌声がだだ漏れる。それを自分の口で塞ぎ腰を振った。椅子の脚がガタガタと鳴らす音が、素股の時とは桁違いにうるさく響いた。
彼女の熱い手が俺の背中に添えられる。
ひとつ屋根の下にお互いの伴侶がいる状況で、まさか本当にセックスをすることになるとは‥‥‥。
ここで和室から呼出しがあれば完全にアウトだ。いけない事をやっていると考えれば余計に興奮した。
「――――う、ぐふぁ!?」
俺は前触れもなく珠希さんから一旦体を離した。彼女の腕をすぐに取る。
セックスに身を委ねていた彼女の顔が、突然の刺激にいやらしく歪んだように見えた。
急に一物を引き抜いたのがそんなに気持ち良かったのか?
そんなことを考えながら珠希さんを立ち上がらせて背中を向けさせる。
こっちの意図を察した彼女が、ダイニングテーブルに両手をついて腰を突き出した。
真っ白で男好きのする大きな尻が挑発するように左右に振られる。
大きなベッドに手錠で繋がれていた珠希さんを思い出す。目隠しをされ誰ともわからない男に体を開き嬉しそうに鳴いていた。
やはり珠希さんは根っからの淫乱なんだ。そう思うと一物がビクビクと震えねっとりとしたカウパーが糸を引いて床を汚す。
「はぁ~信ちゃぁ~ん」
珠希さんは興奮に濡れた声を上げた。新婚の奥さんが夫とは違う男に決して聞かせてはいけない部類の声。
いやらしく汗をかいた淫穴へ狙いをつけ、硬さを増した一物に手を添えた。
と、突然テーブルに置いていた俺のスマホから通知音が聞こえた。
一瞬、俺と珠希さんは息を止めた。
恐る恐るスマホに手を伸ばし画面を確認してみれば、それはゆり子からのメッセージだった。
「もしかして、ゆり子さん?」
こっちに向き直った珠希さんが不安そうに聞いてきた。
「大丈夫。キムが勃起しないからもう少しかかるって」
だからまだセックスの続きが出来る。互いに視線で言葉を交わし、俺たちは時間を惜しむように再び後背位で繋がった。
「―――ぐうっぁ! うっ、ううう‥‥‥」
一気に挿入すると痺れるような快感が脳天に突き抜けた。
珠希さんの体が弓なりにのけ反る。
彼女の濡れそぼった淫穴を自分の肉棒が抉る。視覚的にも刺激を受け快感が増した。
珠希さんは自分の口を手で塞ぎ、喘ぎ声が漏れるのを懸命に堪えていた。
リズムカルにピストン運動を繰り返すと、自分の腰と珠希さんの尻の肉がぶつかって音を立ててしまうため、慎重にそして確実に抜き差しを繰り返す。
そのぶん快感は長続きして、結果、俺は珠希さんという人妻を相手に極上のセックスを味わう。
「珠ちゃん、めちゃ気持ちいい」
「う、ぐうううぁ、私も、私も気持ちいぃいいい~」
目の前の真っ白い背中が汗をかき、視線を上げれば艶やかな黒髪から覗くうなじが俺を誘っていた。
体を倒して白磁のような首筋へと舌を這わせる。
時間があれば全身のしょっぱい汗を舐め取ってもいい。それだけ魅力的な肢体だった。毎晩夫とは違う男に抱かれその精を吸い尽くしている魔性の女。
ふと、このいやらしくてはしたない最高の女は、女性恐怖症の木村には「もったいない」という気持ちになる。
「ああん~信ちゃん、出してぇ、出していいからぁ~」
「ぐぉおおお、イクよ!」
「きてぇ~~~」
首を捩ってこっちを向いた珠希さんの口を貪った。
執拗に口腔内を舐め回した後、顔を離してから彼女の体を後ろから抱き起す。
下から突き上げるようなピストン運動。腰の動きを段々と速め―――射精の瞬間、彼女の右肩に歯を立てた。
「痛っ――――!? ぐあっ、い、いい、イクぅ~~~ん」
絶頂を迎えた珠希さんはテーブルに突っ伏した。
俺は後ろから彼女の体に覆い被さったままで息を整える。
「噛んだでしょ」
「ゴメン、つい‥‥‥」
「もう~、これから夫とセックスするのに―――!?」
覗き込んだ彼女の目は、言葉とは裏腹に怒っていなかった。
「ああ、歯形がついちゃった!? もしかして独占欲って感じ?」
肩に手をやり歯形を確認した珠希さんは、恥ずかしい質問を投げかけてきた。
「うっ」
図星を指され言葉を失う。そんな俺を見て人妻の彼女は満ち足りたように小さく笑った。
「それにしても遅いわね」
「‥‥‥だね。とりあえず汗を拭こうかと」
俺と珠希さんは体が離れる前にもう一度貪るようなキスをした。
なんならもう一戦お願いしたいところなんだが‥‥‥。
廊下の方は静かなままで、今のところこっちに声が掛かる心配はなさそうだ。『人妻バイアグラ作戦』―――木村はゆり子が相手でも勃起しないんだろうか?
もしそうだとしたら木村は勃起の後に控えている珠希さんの存在を意識しているのかもしれない。だが、本当にそうか? 違う場合だってあるんじゃないのか?
ゆり子と木村は情を通じた間柄だ。俺は手放しで信用できない。
だからこの作戦に際し、あるものを用意していた――――。
コメント