10月初旬になる。
外は相変わらずの残暑。
いつになったら過ごしやすくなるんだろうか?
リビングダイニングのエアコンは絶賛稼働中だった。
ダイニングテーブルの椅子には下着姿の珠希さんが座っていた。両腕を前に組んで自分の体を抱くような格好。
肌の露出を恥じらっているのか? もしかしたら少し寒いのかもしれない。
俺は『人妻バイアグラ作戦』のため待機している珠希さんに声を掛けた。
「エアコンが効きすぎてます?」
「ちょっと寒いかも」
黒色のブラとショーツという艶めかしい格好のため、珠希さんの方をなるべく見ないように心掛けていたのだが‥‥‥同じ空間にいて気が回らなかったことを反省した。
「温度を上げますね。たしか2階にブランケットがあったはずで―――」
そう言ってソファーから腰を上げると、「こっちに来て」と珠希さんが小声で言った。
「は、はい」
俺は言われるままに珠希さんの傍へ。
すると珠希さんは椅子の向きを変え座ったままの姿勢で俺の腰へと抱き付いてきた。
「ちょ、珠希さん‥‥‥」
「温かい」
1階の和室に、妻のゆり子と親友で幼馴染の木村が消えてから5分ほどが経過していた。
木村が勃起すればいつ呼び出されるかもしれない。危険な接触に動揺していると、僕の顔を下から見上げた珠希さんが悪戯っぽく笑う。
「2人っきりよ。敬語はダメでしょ? 信ちゃん」
「家はヤバいって、た、珠ちゃん」
一応は相手の要望に沿って略称で返答してみたが、さすがにヤバい。
和室でどんな行為が行われているのかはわからないが、待機している側が隠れて乳繰り合っているなんて、そんなことがバレてしまえば計画の破綻どころかお互いの家庭や人間関係が終わってしまう。
まあ、実際には親友の奥さんである珠希さんを2度抱いているわけで、そんな俺は言える立場になんだけど‥‥‥。
「酷い奥さんだと思うでしょ? 不安なのかな、自分でもよく分からない。でも信ちゃんが私の秘密を知って、そこから一緒に考えてくれて―――すごく嬉しかった」
「‥‥‥珠ちゃん」
「達男さんのことは本当に好きだし結婚に後悔はないの。でも、信ちゃんともっと早くに知り合えてたらって、思わないことはないかな。こんなこと言うと魔性の女でしょ?」
首を傾げた珠希さんの右手が股間に添えられた。
「ゆり子さんには悪いと思ってる。でも信ちゃんのことを求めてしまう」
そう言って珠希さんはズボンの上から股間をまさぐってきた。
「わぁ~大きくなったぁ~」
嬉しそうに言った珠さんの右手が躊躇なくズボンの中へ。
簡単に勃起を果たした一物を握られ思わず腰が引ける。
「だ、ダメだって。見つかったら―――うっ、ぐはぁ!」
にぎにぎって表現が一番わかりやすいだろうか。
扱かれることはなく、くひんやりとした手のひらに包まれ、マッサージの要領で何度も揉み込まれた。
すぐに射精感に襲われる。
「ちょ、駄目だったら―――今日はキムとセックスしないと」
廊下を挟んだ向こう側の和室では、妻のゆり子がキムに対して性的な行為を行っているというのに、俺と珠希さんがこんなことをやっているなんて和室の2人は露ほども思っていないだろう。
「ゆり子さんが頑張ってくれてるんだから、私もサービスしないとね」
「趣旨が違うって」
これじゃあパートナーを交換して行う『スワッピング』ってやつじゃないのかと‥‥‥。
それも同じ屋根の下、廊下を挟んだだけの極めて近い空間で。考えると妙な興奮を覚えてしまう。
「うわぁ、すごく硬くなったぁ」
「珠ちゃんもエロよ」
見れば椅子に座ったままの珠希さんは足を左右に大きく開いていた。
そして俺の腰から離れた左手は、いつの間にか自分のショーツの中に潜り込んでいた。
「女の準備は大変なんだから、信ちゃん手伝ってくれるでしょ?」
「‥‥‥はい」
珠希さんの瞳は欲情に濡れていて、2人きりだったら一方的に襲っていたと思う。それだけ魅力的でいやらしい女に見えた。
俺はゴクリと生唾を飲み込むと、ズボンをずらして腰を屈めた。
コメント