擬似、請負い妻 第53話

10月下旬。 仕事終わりに珠希さんと連絡を取り、吾妻の不在を確認してからスナックに顔出した。 NTR官能小説
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 エアコンの止まった室内の温度が徐々に下がり始めた。まだ11月だというのに、今夜はそう思うほど冷えていた。

 二人の姿が2階の寝室に消えてから5分が経過している。俺はその間、どうやったら二人のセックスを覗き見ることができるのか、ということを真剣に考えていた。

 だが、なかなか良い考えが浮かんでこない。

 勝手知ったる我が家だ。足を忍ばせ寝室の前までは簡単にたどり着けるだろう。だが広くはない部屋のドアを開ければ、中の二人がどんなに行為に没頭していたとしても気づかれる可能性のほうが高かった。

 ―――なんとか寝室に忍び込めないものか‥‥‥

 あごに手をやり溜息一つ。と、いきなり妙案がどこからともなく降ってきた。
 5分あればなんだってできる。焦る気持ちを抱えたまま、すぐに行動に移った。
 
 暗闇の中、1階の脱衣場に移動しスマホで壁面上部を照らす。そこには『ブレーカー』があって、俺は躊躇なく手を伸ばした。

 ―――バツン!

 跳ねるような小気味いい音と同時に、もともと静かだった家の中が更に静寂に包まれた。
 寝室の灯りが消えていたとしても、ベッドのヘッドボードに置いてあるデジタル時計が消えたりして異変には気付くだろう。

 いったんキッチンに戻りカウンターの下に身を屈めた。
 すると2階で動きがあった。

 階段を下りてくる足音が家の中に響く。気配は2つで互いに不安そうな声で会話をしていた。

「停電‥‥‥だよな?」

「‥‥‥たぶん。外は電気がついてるけど‥‥‥ブレーカーが落ちたのかも」

「ブレーカーの場所は?」

「キッチンかな? でも、うーん脱衣場かも」

 一瞬ヤバいと思ったが、二人の気配は思惑通り脱衣場の方に消えてくれた。
 俺はその隙にリビングのドアから廊下に出て、静かに階段を上がった。

 寝室の前までくると1階の方から、「ブレーカ落ちてるわ~」と木村の声が聞こえてきた。
 対応が意外に早いと感じる。もう少しだけもたついてもいいのだが‥‥‥そんなに二人はセックスがしたいのかよ? そう心の中で毒づく。

 色々と思うところはあるが、今はそんなことどうだっていい。二人はすぐに戻ってくるだろう。

 開いているドアの隙間から寝室に入った。ほぼ同時に間接照明の灯りが点く。ブレーカーを元に戻し電気が復旧したのだ。

 使い慣れたベッドの上を、薄ぼんやりとした間接照明の灯りが照らしている。そこには生々しい不貞の痕跡―――掛け布団が雑に捲れ、シーツが荒々しく波打っていた。

 目の前の情景が扇情的に映ると、夫婦の見慣れた寝室が自分の知らない場所に思えてくる。さっき射精したばかりだというのに股間が熱くなった。

 階段を上がってくる足音が聞こえた。
 二人の気配がこちらへゆっくりと近づいてくる。

 寝室のベッド上を凝視していた俺は、目指す場所―――『ウォークインクローゼット』の引き戸を開けて真っ暗な空間に身を潜めた。

「なんで落ちたのかな?」

「うーん、特に電気を使ってないのにブレーカーが落ちるってことは‥‥‥一度電気屋さんに見てもらったほうがいいかもね」

「だよね。信太が帰ってきたら言ってみる」

 寝室の外から聞こえてきた二人の会話。
 ゆり子の口から俺の名前が飛び出すと心臓がドクンと跳ねた。

 見つかるかもしれないとか、そういうことではなくて―――今まさに不貞を働いている妻の口から俺の名前が飛び出したことで、自分の中で沸き立っている興奮の度合いが一段階高まったような感覚だった。

 ―――もしかしたらゆり子も‥‥‥逆もあり得るのか‥‥‥!?

 そう考えてから手にしていたスマホに視線を落とした。

 ウォークインクローゼット位置は、ベッドの真横に位置していた。引き戸は少しだけ閉め残している。間接照明に照らされたベッドの上はこちらから丸見えだ。

 これからゆり子と木村は一体どのような痴態を俺の目の前で演じるのだろうか‥‥‥ついさっき射精したばかりの股間が早くもはち切れんばかりに勃起していた。

コメント

  1. ムッツリーニ より:

    なんて大胆なのぞき!
    濡れ場は次回かな。
    待ち遠しいです。

  2. Gerald Camarena より:

    ああ、最高の部分で終わってしまった、こんな風に私を放っておかないで…この章をありがとう、待ち時間が短くなることを祈ります。