「じゃあ行ってきますね。お義母さんはもうすぐ帰ってくると思うから・・・・・・」
「ああ、楽しんでおいで」
近所で仲良くなった奥さんたちとのお茶会を理由に小奇麗な格好に着替えた美智は、すやすやと眠る子供の様子を確認してから寝室を後にした。
まもなく帰宅するであろう義母を避けるように急いで靴を履き、いつものように夫と子供を残して外出する。それを貼り付けたような笑顔で見送る和義―――。
―――寝取らせ計画が始まってから、すでに半年近くが経過していた。
鈴木家が入居するマンション周辺では、桜の花が満開で連日心地よい陽気が続いていた。
美智と義父の関係は相変わらずで、家族の寝静まった深夜の近親相姦は続けられ、変化があるとすれば隠しカメラを意識するようになった美智の感度が上がって昌義を大いに喜ばせていることだった。
同じ女として義母と顔を会わせづらい美智は慌てて外出した先―――マンションから少し離れた道沿いに停車していた車の助手席へと躊躇なく体を滑り込ませた。
「―――遅いな」
「ごめんなさい・・・・・・子供を寝かしつけてたんで」
「今日はホテルじゃなくて、少し変わったことをしようか」
動き出した間宮の運転する車。
助手席に座った美智は、「変わったこと」という言葉に不安を募らせつつ、下腹部に密かな疼きを感じていた。
和義が計画した愛妻寝取らせ計画には明確なルールがあった。
それは体の不自由な和義が後から視聴できるように、セックスの様子を動画として記録しなければならないというもの。そのため隠しカメラが設置されている鈴木家の居間以外でのセックスは禁止されていたのだが・・・・・・美智の体に溺れた間宮がルールを破り、家以外の場所でセックスを行うようになっていた。
ハンドルを握る間宮は、おもむろに座席の後ろに手をやると真っ黒い眼鏡のようなものを取り出して助手席へ投げた。
「これは? 目隠し・・・・・・!?」
「もうすぐ着くから、つけてくれ」
逆らっても無駄だとわかっている美智は言われたとおりに着装する。それは顔の半分近くを覆うような代物で視界が完全に閉ざされてしまった。
やがて間宮の運転する車は、大きなショッピングモールの立体駐車場に停車した。建物の入口からは遠く、近くに止まっている車はまばらだった。
「ここは、ど―――」
―――ガチャ、バタン! ガチャ、バタン!
間宮に質問しようと口を開いた美智の言葉は、後部ドアの開閉音によって遮られた。
おもむろにドアが開き、乱暴に閉じられた音。
その後に静まる車内。目隠ししたままの美智は、後部座席に人の気配を感じて体を強張らせた。
「―――っん!」
突然、服の上から両胸が揉みしだかれた。ごつごつとして大きな手は真後ろの方―――後部座背から伸びていることがわかった。
運転席の間宮は口の端を歪めてニヤリと笑い、後部座席の男たちに目配せしてさらなる行為を容認した。
「あ、いや―――! ちょ、間宮さん、えっ!?」
乱雑にはだけられたブラウスの胸元から、大きな乳房を包み込むブラジャーのカップがのぞく。抵抗するように捩った美智の体は、斜め後方からのびた別の手によって押さえ付けられた。
そのまま真後ろからのびた手によってブラジャーのカップが押し下げられると、母乳を蓄えた大きなオッパイがまろびでた。
「おっと、車内を汚されちゃあ困る」
嫌がっているはずの美智の乳首はなぜか半勃起状態で母乳を滲ませていた。それを見た間宮が淡々と言う。
「ふん、それじゃあさっそく俺たちの車に移動しようや」
露わになった美智のオッパイを真後から弄んでいるガタイのいい作業服姿の男は、隣に止まっている黒いバンに向かって顎をしゃくった。
「近くに人は・・・・・・誰も見てないな」
「い、嫌っ!? 移動って? ちょっと間宮さん―――!」
どうにかして目隠しに手をやろうとする美智だったが、斜め後方から伸びていた手―――スカジャンの若者に体を押さえ付けられてままならない。
運転席から外へ出た間宮が、周囲を気にしながら助手席のドアを開けたのと、作業服姿の男がバンのスライドドアを開けたのがほぼ同時だった。
「ま、間宮さん! 助け―――うぐっううう・・・・・・」
「奥さん、大丈夫だって。一緒に帰れるから。ただちょっとだけいつもと違うことをするだけだから」
「うぐ―――! うう・・・・・」
「大丈夫、俺は外で待ってるから―――な、3Pってやつだよ3P。ただ、知ったら普通に戻れなくなるかもな・・・・・・」
ガタイのいい作業服姿の男が美智の体を間宮の車から外へ引っ張り出し、手慣れたように口を塞いで隣のバンの中へ引きずりこんだ。そこに間宮が軽い感じで声を掛け、スライドドアを躊躇なく閉めた。
目隠しをつけたままの美智は、自身に降りかかった出来事を正しく理解できず、ただ間宮のいった「3P」という言葉だけがやけに耳朶に残っていた。
スカジャンの若者がバンに乗り込み、すぐに降りてきて間宮の近くに寄った。
「本当に上玉だな。兄貴が約束どおり利息分はチャラでいいってよ。それと、ちょっと時間がかかるからあんたはコーヒーでも飲んできな、だってさ」
そう言って一万円札を間宮に握らせた。
◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇
―――ふっ、ふっ、ふっ、と連続して聞こえる軽快な呼吸音。
立ち上がることを年明けまでの目標にしていた―――そのことを考えれば驚異的な回復だった。
愛妻が寝取られてゆく様子に興奮し、一物の脈動を実感した後の回復は目覚ましく、不貞のための言い訳を残して愛妻がいなくなった寝室では、1人で立っている和義が神経や筋肉の動きを確かめるようゆっくりと浅いスクワットを繰り返していた。
半身が動かない状態からの奇跡のような回復。何らかのきっかけがあったとしても同じ境遇の人の全てが改善できると和義は思っていない。ただ自分は運がよかっただけなのだと理解はしているが、その実、愛妻を義父と同級生に寝取られたという屈辱と執念が回復の一助になったことを否定できなかった。
それに、回復を早める結果となった和義にはあまり喜べない誤算があった。
それは、間宮がルールを破ったことだった。言い訳を残して外出する機会が増えた妻を見て和義はすぐにピンときた。
(隠しカメラの前だけでは飽き足らずに・・・・・・くそっ! どこでヤッてるんだ!ホテルなのか!? それとも自宅に連れ込んで・・・・・・)
間宮によってよがり狂う愛妻の姿を想像した和義は、嫉妬と興奮に体を震えさせ―――その反応が奇しくも飛躍的な回復をもたらしていた。
◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇
桜の季節は、卒後や入学、就職といった様々な人生の岐路があって始まりがある慌ただしい季節だ。
和義の立てた恐るべき計画―――その目的を遂げるための最終段階へ移行するにはちょうどいい季節に思えた。
計画に支障がないまでに体の機能を回復させた和義は、母親照子の付き添いでいつものようにリハビリに励んでいた。
「うっ―――くそっ!」
すらっとして背が高いハンサムな作業療法士の介助によって車椅子に座った和義は、悔しそうな表情で一点を見つめて叫ぶように言った。
「鈴木さん、ゆっくりでいいんです。けして焦ってはいけません」
「すいません・・・・・・自分への不甲斐なさで、つい・・・・・・」
「大丈夫ですよ。焦らずゆっくり。付き添いのお母さんや奥さん、応援してくれる人がいるから頑張りましょう」
「・・・・・・そうですね」
「そういえば、奥さんはどうされたんですか? 最近あまりお見掛けしませんが」
(くそ! どうしてお前が妻のことを気に掛けるんだ・・・・・・)
美智の綺麗で整った顔立ちと対称的に淫らなまでの大きな双丘は、本能というべきか数多の男が関心を寄せる。それに2人の男から激しく求められる日常で、最近では溢れ出す色香が尋常ではなくなっていた。
いまもこうして、リハビリの担当者までもが・・・・・・と和義は辟易した。
「歩けるようになりますかね」
「うーん・・・・・・努力次第では・・・・・・」
母親が顔を出したタイミングを見計らい、担当の作業療法士の男に対して和義はワザとらしく声を掛けた。当然、曖昧で煮え切らない反応があり、それを母親と2人で聞いてから病院を後にした。
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