船上で寝取られて 第1話

NTR官能小説
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 妻とは趣味のオートバイを通じて知り合った。
 複数人が参加する社会人のツーリングサークルだ。
 
 そこで半年に数回ほどしか顔を合わせる機会のなかった妻に、僕から積極的にアプローチをして現在いまに至る。

 振り返ると時間の流れは早いもので―――気付けば結婚生活も10年が経過していた。

 妻は整った顔立ちのスレンダー美人で、今もツーリングで知り合う男たちの熱い視線の数がその美貌を証明していた。
 それに僕の実家へ帰省すれば、現役を退いた親父でさえも、年甲斐もなく息子の嫁の体に熱のこもった男の視線を向けてくるほどだ。

 子供は小学生の男の子が2人いる。
 しかし子供を産んでも妻の体型は知り合った当時のままで、専業主婦のエプロンよりライダースーツの方がよく似合った。

 この夏、子供の夏休みにあわせて僕と妻は北海道へのツーリング旅行を計画した。

 子供たちは僕の実家へ預けて、妻の気ままな2人旅の予定だった。北海道へはフェーリーでの船内一泊後に小樽から上陸して、その後に稚内を目指すという計画を立てた。
 
 そのツーリング計画―――船上で起こった出来事が僕の隠れた性癖を露わにし、その後の妻との性生活を一変させることになったのだ。

 
 ◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇


「気持ちが良いわね」

「・・・・・・そうだね」

「大丈夫? 船の揺れは穏やかになった感じよ」

「―――まだ気持ちが悪いよ」

「酔い止めは飲んだの?」

「もう2日分は飲んだ」

 妻の心配そうな問い掛けに、僕は遠くを眺めながら自嘲気味に答えた。

 昔からバスや飛行機など大型の乗り物に弱く、今回の旅でも早々に船酔いして乗船直後から客室の寝台で横になっていたのだ。
 
 そして船が陸地を離れ外海に出て揺れが穏やかになったころに、妻を追いかけてデッキに上がってみたのだ。
 
 7月末の日本海は深い蒼色が美しい。
 緩やかなぬるい風は船内の効きすぎた冷房よりは気分が晴れる。

 ライダースーツから裾の長いサマーワンピースに着替え、デニム生地のアウターを羽織った妻の絵理が遠く離れて見えなくなってしまった陸地の方向を眺めている。

「相部屋の2人は大学生だって。なんでも僕たちと同じでツーリング旅行だそうだ。でっ、北海道滞在日数は未定―――」

「羨ましいわね」

「若さ? それとも自由な時間?」
 
 僕の問いかけに妻は答えることがなかった。海を見つめたまま小さく笑った気がした。

 
 ◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇


 僕たちの客室は4人部屋で、2段の寝台が狭い通路を隔てて設置されていた。
 
 僕と妻は船首側の2段の寝台となっていて、僕の船酔いを考慮して妻が上段を使用すると申し出た。
 
 乗船直後に僕たちは学生だという2人の青年と顔を合わせている。お互いに軽く会釈しただけで、その青年たちは荷物を置いて早々と部屋を出て行ってしまった。

 妻はその隙に体の線が強調されたライダースーツから洋服に着替え、真っ青な顔で横になっている僕に薬の箱を渡して船上デッキへ上がったのだった。

 しばらく寝台に横になっていると、相部屋の青年たちが帰ってきて向こうから遠慮がちに話しかけてきた。

「あの~、船酔いですか?」

「―――恥ずかしながら」

「薬ならありますよ」

「申し出はありがたいけど――― さっき飲んだから少し楽になってきたよ」

「そうですか。僕たちうるさかったら言ってください」

「ああ、それは大丈夫だよ。お互い様ってことで」

 今の若者にしては、しっかりとしている印象だった。

「もしかしてツーリングですか?」

「ああ――― そういう君たちも?」

 なんとなくの直感。まあ、この時期はそもそもライダーの乗船が多いのだが・・・・・・。
 
「あっ、はい。学生最後の夏休みなんで、思い出作りです」

 どちらも僕より背が高く、シャツの袖からのぞく腕はよく日に焼けた肌で引き締まった肉体を容易に想像できた。
 
 最初に話しかけてきた方が田中と名乗った。よく喋り軟派な性格だと分かる。
 もう1人は渡辺と名乗ったが、会話には殆ど入ってこなかったことから、今時珍しく硬派な印象を受けた。

「一緒の人は彼女ですか?」

 軟派な印象の田中が上段の空いた寝台に視線を向けた。

「―――彼女? はは、妻が聞いたら喜ぶよ」

「あっ!? す、すみません。 奥さんだったんですね――― すごく綺麗だったから」

「君らから見たらおばさんだろう。こっちはそういう歳だよ」

「おばさんだなんて! すごく綺麗で旦那さんが羨ましいですよ」

 田中と名乗った青年はやはり軟派でお調子者の部類なのだろう―――妻と一緒の客室で一泊することに不安を覚えた。


 ◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇


「ふふ、彼女ですって? それって若く見られたってことかしら」

「綺麗だって褒めてたよ」

 海を眺めていた妻が踵を返すようにしてデッキの手すりに背中を預け、僕に満面の笑みを向けてきた。
 僕はその時、先ほど感じた不安な気持ちが心のどこかでくすぶっていることに気が付いていた。

「遅めの昼食にしないか?」

「レストランって24時間営業かな?」

「まさか。閉まるまでに行こうか」

 モヤモヤする気持ちを食欲で紛らわすために妻をレストランへ誘い、デッキを後にしたのだった。