船上で寝取られて 第7話

NTR官能小説
 頭上・・・から2人の話し声が聞こえていた。寝ている僕を気遣ってか、2人の声は小さい。しかしどんなに声量を絞ろうとも、頭の真上で話をされれば会話は筒抜けだった。

 妻の寝台に田中が移動してから、すでに5分程が経過していた。寝ているふりを続けている僕にとっては想定外の成り行きであり、田中の行動を簡単に受け入れてしまった妻への信頼が再び揺らいだ。

 妻と田中はそれぞれの寝台で食事を終えて、お互いが身の回りの片付けをしていたようだが、暫くすると妻の方から、
「ガイドブック持ってる? 違うのが見たくって」
と言って田中に声を掛けたのだった。

 声を掛けられた田中の行動は早く、手荷物を漁る音が聞こえたと思ったら、
「ありますよ。そっちに移っていいですか?」
と大胆且つ積極的に言って妻の寝台に移動したのだ。

 寝台を隔てる通路は狭く、床に下りることなく寝台と寝台の間を跨いで移動する田中の気配があり、僕の真上でギシギシと音が鳴った。

 田中の申し出に対して、妻は小さく「うん」と返答したのみで、自分の寝台に夫以外の男が入り込む事への迷いや抵抗感を持っている様子が窺えた。

 ◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇
 
 頭上からはガイドブックをめくる音と、楽しそうに会話する声が聞こえていた。―――寝台の壁側に背を預け、肩を並べた2人が仲良く1つのガイドブックを見ている光景が目に浮かぶ。
 寝たふりを続けている僕は、耳をそばだてて2人の会話に集中した。

「それにしても旦那さん、よく眠っていますね」
 田中の話がガイドブックの内容から逸れた。

「本当ね。普段より眠りが深いかも・・・・・・ 酔い止めってすごいのね」
「起こさないようにしましょう」	
 
 妻と田中は、僕の狸寝入りを信じているようだ。再びガイドブックのページをめくる音が聞こえ、暫くは北海道の話で盛り上がっていた。そんな中、不意に楽しそうな会話が途切れた。頭上の寝台がギシギシと音を立て軋む。

「た、田中君!? ・・・・・・駄目よ」
 驚いた様子の妻の声が聞こえた。言葉の後半は、子供を優しく叱るニュアンスだった。

「―――すみません。奥さんが綺麗だから、つい・・・・・・」
「綺麗だなんて、大人をからかうような事を言わないの」

 会話の内容から、田中が妻に対して何か良からぬ事をしたのは想像できた。しかし制止の言葉を口にした妻に、本気で嫌がっている様子は窺えなかった。
 本当はこの辺りで起き出してしまえばよかったのだが、妻の不可解な様子になんだか腹が立ってきて、もう少しだけ寝たふりを続けることにした。

「映画館では許してくれたのに」
 子供っぽく拗ねる口調で田中が言った。

「・・・・・・はぁ~、渡辺君が帰ってきたらすぐに離れてね」
 大きな溜息をついた妻は、渋々といった感じで田中の要求を受け入れた。
 
 頭上の寝台が小さく軋む。2人の声は聞こえてこない。会話の代わりに2人の息遣いが大きくなったように感じた。次第に気が気ではなくなる。僕は、妻が田中に何を許したのかを想像した。

 ―――何をされているんだ?

 静かに上半身を起こして耳の位置を高くする。2人の息遣いがますます大きく聞こえた。僕の頭の位置のすぐ上に2人の気配を感じる。
 ―――肩を抱かれているのか?
 映画館で見た光景が脳裏に蘇って、僕は息苦しさを感じた。

 不意に会話が再開した。
「若い子と一緒に・・・・・・ なんだか若返ったみたいだわ」
「若返ったなんて、奥さんは若いですよ。それにすごく綺麗です。さっきから僕の心臓が緊張でドキドキしてます」

「お世辞がお上手ね。女性に慣れてるように見えるわ。本当は緊張なんてしてないでしょ」
「―――奥さん、ドキドキいってます。胸の上から、ほら」

「ちょっ!? あ、あ~~~本当だ~、すごくドキドキしてる」
「奥さんが触るから興奮して心拍数が上がりましたよ」

「こ、興奮? おばさんで興奮したの?」
「正直に言うと、もう我慢できません」

「あっ! だ、駄目よ。ちょっと田中君、駄目、駄目、タイム、タイムってば! くすぐったいよ」
 頭上からはギシギシと寝台が軋む音が鳴り、田中を制止する妻の声が聞こえた。夫としては緊迫する状況だったが、残念なことに妻の声には全く緊張感が感じられなかった。悲しいことに、まるで恋人同士がじゃれ合っているように思えてくる。

 そろそろ起き出して2人の間に割り込まねばならなかった。しかし何故だか僕は動けないでいた。妻の貞操の危機を目の前にして―――、勃起していたのだ。

「駄目だって。ね、起きちゃうから・・・・・・」
「ちょっとだけ」
「ちょっとだけって、なによぉ。ちょっとだけでもダメなの~~~、っはぁん―――」
 
 迫る田中の声に、甘えるような響きの妻の声。その声が途切れて―――、ちゅっ、ぶちゅっ、ちゅと連続する粘着質な音が聞こえた。

「キスは駄目よ」
 粘着質な音の合間に、絞り出すような妻の小さな声が聞こえた。

「静かにしてください。旦那さんが起きちゃいますよ」
「ああん、ズルいぃぃぃ~~~」

 ギシギシと軋む頭上の寝台。ちゅう、ぶちゅう、ちゅっ、ちゅ―――、聞こえてくる粘着質な音が次第に大きくなる中、頭上の寝台がメキメキと大きく軋んだ。

「奥さん手を、そう、こっちへ回して」
「えっ!? ちょ、ちょっと、もう――― こんなところを見られたらどうするの」

「大丈夫です。もっと強く、ほら―――」
「こ、こう? 嫌だぁもう~~~ こんなに抱き合ってダメよぉ」

「奥さんのキス、美味しです」
「若いのにいやらしい言い方ね。おばさんに変な事を言わないで。これ以上は駄目よ。」
 田中の言葉に、まんざらでもない様子で妻が言った。

「本当に駄目なんですか? 試してみます?」
 田中が悪戯っぽく言うと、頭上の寝台が再び大きく軋んだ。

「―――ちょっと!? 駄目よ、そこ、首筋は弱いん、ひっん!」
「起きちゃいますって」
「あああ、も、もうズルいんだから」 
 
 会話が途切れて、頭上ではごそごそと動く2人の気配だけがあった。会話の内容から2人の行為は容易に想像できる。
 妻が夫以外の男とキスをしたことは到底許せることではない。ここで2人を止めなければ取り返しがつかなくなることは明白だった。
 それでも僕の体は動かなかった。勃起した一物はドクドクと脈打ち、おかしな興奮に包まれていた。

「田中君、ちょ、ちょっと待って。カーテン、閉めるから―――」
 勃起した一物を握り込んだ僕の耳に、妻の抑えた声が聞こえた。そして寝台上段の目隠しのカーテンがゆっくりと閉まった。

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